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映画ノート

【映画】ドリーム ホーム 99%を操る男たち

 
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ドリーム ホーム 99%を操る男たち(2014 アメリ
原題:99 Homes
監督/脚本:ラミン・バーラニ
出演:アンドリュー・ガーフィールドマイケル・シャノン/ティム・ギニー/ノア・ロマックス/ローラ・ダーンクランシー・ブラウン/ウェイン・ペレ

【感想
ラミン・バーラニが原作、脚本、監督を手掛けた本作は、自宅の立ち退きを命じられたシングルファーザーを主人公にしたエコノミック・ドラマです。
今年『マネー・ショート』『マネーモンスター』と観て、いまいちピンとこなかった経済音痴の私でも、これはわかりやすく、しかも身につまされました。

本日「50人斬り」の34人目の英国男優はスパイダーマンアンドリュー・ガーフィールド

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アンドリュー演じるデニスは屋根葺きなどの建築作業員として働いていたが、不況のあおりを受け仕事が激減。
借金が返せなくなり、母と息子と暮らす持ち家からの立ち退きを余儀なくされる。

立ち退き現場に警察と現れ、冷徹に仕事を進める不動産ブローカー、リックを演じるのがインディーズ映画で抜群の存在感を見せるマイケル・シャノン。本作でも流石の演技力で悪徳ブローカーを演じてます。
デニスに自分を重ねている部分もあって、父のような兄のようなシンパシーも持っているように見える。悪なだけじゃないと思わせるところがシャノンのうまさ。
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愛する家族に家を買い戻したい一心から、憎くてたまらない男に雇われるデニスですが
手段を選ばぬやり方に戸惑いながら、大金を得るようになると次第にモラルの意識が薄れていく。
ある意味スポ根もののような見せ方で、観る者の感覚さえ翻弄する演出が凄い。

しかし利益を上げるものがいれば、その分誰かがお金を失っているわけで
やがて私たちはデニスとともに弱肉強食のアメリカ経済の仕組みを、いやというほど見せられるですよね。
デニスのジレンマとアイロニー。苦悩が似合うガーフィールドは熱演です。

共演はほかにローラ・ダーン
欲にほだされることなく、良心を貫き通すデニスの若い母親を演じています。
家族を愛するがゆえに悪魔に心を売るデニスだけど、彼が心を取り戻す力となるのは、やはり家族の存在でしょう。

終盤起こることへの伏線も十分で、映画に漂う緊張感は半端なし。
ダレるところの全くない演出でアメリカ社会の闇を描き上げた傑作ですね。

監督はイラン系アメリカ人。敬愛する批評家、故ロジャー・エバート氏が、「これからのアメリア映画を背負っていく最高の映画監督」と絶賛したとのことで、ラミン・バーラニ監督、要注意だわ。




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