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映画ノート

レッド・ムーン

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 レッド・ムーン(1958)

ロバート・マリガン監督による西部劇
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1881年、インディアンとの争いはほぼ終わり、たまに居住区を嫌いよそでいざこざを起こすインディアンの制圧に騎兵隊が出向いて交通整理をする、そんな時代。
この道15年のサム・バーナー(グレゴリー・ペック)が出向くと、インディアンの集団の中に子供を連れた白人女性がいる。サラと名乗るその女性は幼い頃にインディアンに捕らえられ、子供はインディアンとの間にできた子だった。騎兵隊はサラと子供を保護しサラを故郷に連れていくことを約束するが、サラは隊の同行を待てずすぐに出発することを懇願。この仕事を最後に、余生過ごすニューメキシコに向かうことになっていたサムが同情から二人を途中の駅まで送る役を引き受ける。
ところがサムは行く先々で白人たちを無残な死体を目にすることに。
サラを捕らえていたインディアンが、子供奪還のため後を追っていたのだ。

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本作が作られた1968年ともなると、勧善懲悪の西部劇は作られなくなってくる。本作も土地争奪のためインディアンと白人が戦うありきたりの西部劇ではなく、子供を取り戻さんとするインディアンとの戦いをサスペンスフルに描くという現代的なもの。

原題『Stalking Moon』のStalkingは獣が音もたてずに獲物に忍び寄るさまを意味するものであり、サラによると彼は音もなく敵に近づくのだという。「ストーカー」に使われるように執拗に相手に近づくという意味もあって、どこまでも執拗に追ってくる恐ろしさを如実に表している。
インディアンにやられた白人が死ぬ前に「あんな奴見たこともない」などと口走るのもあって、想像はとんでもなく膨らんだし、迫りくるインディアンの姿を最後の最後まで見せない演出も怖さをさらに助長し効果的だった。
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グレゴリー・ペック演じるサムも、怪我の応急処置の手つきなどに戦闘経験の豊富さをうかがわせる。
インディアンからの銃撃を逃れるため子供を盾にしたり、決して完全無欠のヒーローではないけれど、死体を必ず葬る
律義さがペックらしい。
サラ役には『北北西に進路をとれ』のエヴァ・マリー・セイント。
他人を巻き込むことに罪悪感を覚えながらも、子供のためにも道を切り拓こうとする女性を地味ながらも力強く演じている。ただしつけまつげには興をそがれた。

岩場での死闘など、体を張ったアクションも、CGのない時代であることを思うと一層見ごたえがある。
時にカメラがインディアン目線となり、緊張感の高まりが半端なかった。



映画データ
原題:The Stalking Moon
製作国:アメリ
監督:ロバート・マリガン
脚本:ポール・メイヤーズバーグ
出演:グレゴリー・ペックSam_Varner
   エバ・マリー・セイントSarah_Carver
   ノーランド・クレイHer_son
   ロバート・フォスターNick
   Arussel Thorson Ned
原作:マーショル・ホウツ