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映画ノート

【映画】リトル・メン

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リトル・メン(2016 アメリ
原題:Little Men
監督:アイラ・サックス
脚本:アイラ・サックス/マウリシオ・ザカリーアス
出演:グレッグ・キニアジェニファー・イーリー/パウリーナ・ガルシア/アルフレッド・モリナ/テオ・タプリッツ/マイケル・バルビエリ

【あらすじ】
売れない俳優のブライアンは父を亡くし、ブルックリンに店舗付きのアパートを相続し一家で越してきた。
一階の店舗にはチリ人女性レオナ―が洋品店を営んでいる。レオナーの息子トニーとブライアンの息子ジェイクは意気投合するが・・。


【感想】
あぁ、結婚生活』『人生は小説より奇なり』のアイラ・サックスが監督し、インディペンデント・スピリット賞脚本賞などにノミネートされたドラマです。

父から相続したブルックリンのアパートに越してきたブライアン(グレッグ・キニア)は、テナント収入に期待していたのに、父の温情で洋品店を営むレオナ―からはわずかな賃貸料しかもらってないことが発覚。妻の収入に頼る売れない俳優のブライアンは何としても賃貸料を引き上げたい。しかし値上げをめぐる交渉でレオナーと衝突し、オーナー・テナント間の確執は子供同士の友情に影響することになる という話です。

未見ですが前作『人生は小説より奇なり』も年金や不動産など現実的な問題に翻弄されるニューヨークに暮らすゲイカップル(アルフレッド・モリナジョン・リスゴー)を描くドラマになっているらしい。監督にとっては旬のテーマなのかな。
まぁ・・世知辛い話ではあるんですが、本作でもリアルな問題を取り上げているのに不思議とみずみずしいのは、主演の少年二人の透明感によるところも大きいかも。
活発で人懐っこく俳優志望のトニーと芸術家を目指す静かなジェイク。レオナー一家を追い出さないで欲しいと父親に泣きながら訴えるジェイクのトニーへの思い入れには友情以上のものを感じるところで、そこも監督ならではでしょう。
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トニーとの友情(初恋?)に破れ、ジェイクがブルックリンの街にローラースケートを滑らせるシーンでは、ジェイクの心もとない心情を映し出すカメラワークが秀逸です。怪我をしたジェイクの手当てをし、わが子を抱きしめるブライアン。父の背中に大人の事情に子供を巻き込むことの辛さもにじむものの、息子を支える父の大きさも感じるから後味は決して悪くない。

監督も双子の男の子の父親になったらしく、父性も映画のポイントだろうと思います。
ちなみに監督は同姓婚で、子供たちの母親はお隣に住んでいるとのこと。
さらに余談ですが、その母親は今回のアカデミー前哨戦でいくつかノミネートを果たしている『カメラパーソン』というドキュメンタリー映画の監督さんだそうです。

レオナーに『グロリアの青春』のパウリーナ・ガルシア。怒りと不安を内に押し込めつつ、生きる手段を模索し果敢にふるまうレオナーを丁寧に演じていて巧い。トニー役のマイケル・バルビエリ君が演技学校の講師と演技合戦をするシーンも大人顔負けの演技。チャーミングだし彼はこれから活躍するかも。

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