しまんちゅシネマ

映画ノート

国際諜報局(1964)

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国際諜報局

The Ipcress File
 
あらすじ
 
原子力技術の権威ラドクリフ博士が何者かに誘拐される事件が起き、パーマーはダルビー少佐率いる秘密情報部に派遣されて行方を探すことに。

 
ラドクリフ博士の誘拐シーンに続いてマイケル・ケイン演じるハリー・パーマー登場。
目覚まし時計がジリリと鳴って、パーマーの一日が始まる
 
時計を止めると同時に始まるジョン・バリーのけだるいジャズのサウンド
うわわ、これって『動く標的』のオープニングに似てる?と
この時点でかなり気持ちが高揚してしまった。
 
しかし、ニューマンの起床がルーティンを思わせるのに対し、パーマーのはちと違う。
パーマーはベッドの中で「ここどこだっけ?」とばかりに部屋を眺めまわす
彼がまだこの環境になじんでいないことを思わすうまい演出だ。
 
パーマーは軍の物資を横流しして捕まった元軍曹。
しかしちょい悪で横着なところをロス大佐に見込まれ、スパイとして採用されることになった。
 
 
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本作には派手なアクションもなければスポーツカーも出てこない
ケインの黒縁眼鏡なんか今どきのスパイ映画では完全にスパイグッズと化しそうだけど
パーマーは単に近眼で、メガネには何の仕込みもない(笑)
科学者誘拐を解決する手段にしたって「お金で買い戻す」というのだから、地味にもほどがあるというものだけど
そこが逆にリアルで楽しい。
 
お調子者だしへまもやらかす
でもケインのどこか飄々としたキャラや台詞の応酬に可笑しさがあってニマニマ。
スーパーで買い物をするパーマーには親近感すら感じてしまった。
 
東西の対立、洗脳、二重スパイと言った内容は、当時見ればリアルな怖さもあっただろう。
陰影のつけかたで表情に不気味さを漂わせるカメラワークも秀逸。
私は『007』より断然こちら派。

映画データ
原題:The Ipcress File
製作国:イギリス
監督:シドニー・J・フューリー
脚本:ビル・キャナウェイ/ジェームズ・ドーレン
ナイジェル・グリーン
ジーン・コートニー
ガイ・ドールマン
ゴードン・ジャクソン
オーブリイ・リチャーズ
フランク・ガトリフ