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映画ノート

【映画】奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトゥエ<未>

 将棋の藤井4段、ついに破れましたね。
プレッシャーもあったでしょうが、中学生で歴代トップの29連勝を記録したのだから、十分凄いです。
勝ち続けるよりも負けて学ぶことも多いはず。
彼はさらに強い棋士になっていくことでしょう。

さて、今日アップするのは、劇場公開は逃したものの、ずっと観たかった映画。
チェスの国内大会で優勝し、世界に挑戦したウガンダの少女フィオナの物語。実話です。

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奇跡のチェックメイト クイーン・オブ・カトゥエ(2016)アメリ
原題:Queen of Katwe
監督:ミーラー・ナーイル
出演:マディナ・ナルワンガ/デヴィッド・オイェロォ/ルピタ・ニョンゴ
【あらすじ】
ウガンダの貧民街に暮らす少女フィオナは、貧しい子供たちにチェスを教えるカテンデに見いだされ、才能を開花させる。


【感想】
監督のミーラー・ナーイルは、大好きな『その名にちなんで』で知られるインドの女性監督です。
インドを舞台に、あるいはインドからの移民の映画を撮る人だと思っていたので、東アフリカのウガンダを舞台にした実話ベースのディズニー映画?と意外な気がしてたんですが、調べたら監督はウガンダにもう25年も暮らしてるんですね。映画の舞台となるスラム街からは15分の距離だとか。
そんなナーイル監督ですが、内紛などアフリカのダークな一面を描くことには興味がなく、それらのオファーはことごとく断ってきたらしい。この映画を受けたのは、本作が世界中の子供たちの希望を見出す話だと思ったからだそう。
なるほど、フィオナがチャンピオンになっていく過程は普遍的なサクセスストーリーで、夢を実現させることは誰もが自分に置き換えることのできるもの。
スラム街が舞台ではあるけれど、悲壮感はそれほどなく、軽快な音楽や陽気なダンス、カラフルなトーンで元気をもらえる感じは『クール・ランニング』を思いだしました。

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チェスを全く知らないフィオナが仲間の子供に教わるところから始まるのは、ルールも何も知らない私にはありがたかった。
勿論じきにちんぷんかんぷんになりますが(笑)
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フィオナだけにフォーカスするのでなく、チェスを教えたカテンデやチェス仲間の子供たち、フィオナの母親(ルピタ・ニョンゴ)など、フィオナを取り巻く人々との人間関係が丁寧なのもいい。
特にカテンデを演じたデヴィッド・オイェロォのひたむきな指導者ぶりが素晴らしく、彼の台詞には人生の指標にしたいものがいくつかありました。オイェロォはカリスマ的な歴史的人物を演じることがあるけれど、こういう暖かい役柄が似合うんだと再認識。
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フィオナを演じたマディナ・ナルワンガ他、子供たちなど大半は演技を知らない素人らしいですがそれも一興。
子供たちの素朴さやユーモアを引き出した監督の演出力も素晴らしいんでしょうね。

あと中流階級の子供たちはちゃんとブレザーとネクタイの制服を着てたりで貧富の差が激しいことなど、紛争映画からは観ることのできない近代的な部分が垣間見れるのも興味を惹かれるところでした。

『人は必ずしも自分がいるべき場所にいないことがある。』との劇中の言葉に
果たして自分は、自分が信じる「いるべき場所」にいるのかと
それぞれが問いかけることになるでしょう。

「よりよい自分」になるチャンスはまだ残されているかも と
そんなことを考えさせてくれる映画でした。

rottenトマトでも93%の高評価。
日本公開はいつかな。




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