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映画ノート

【映画】ブレードランナー 2049

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 ブレードランナー 2049(2017アメリ
原題:Blade Runner 2049
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ライアン・ゴズリング/ハリソン・フォード/ロビン・ライト/ジャレッド・レトー/アナ・デ・アルマス



【感想】
前作から30年が経過した2049年を舞台にした『ブレードランナー』の続編です。
リドリー・スコットは製作総指揮に回り、カナダの新鋭ドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンをとりました。

2049年、前作でレプリカントを製作していたタイレル社に代わって、ウォレス(ジャレッド・レトー)が従順なレプリカント「ネクサス9」を労力として世に送り出している。
ライアン・ゴズリング演じるLAPDの刑事「K」はすでに解任されたタイレル社製の「ネクサス8」をハンティングするブレードランナー
レンガの壁も平気で破る頑強ぶりからkが生身の人間でないことがうかがえます。
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デッカードレプリカントか否かは35年に及ぶ議論を呼んできたのに
今度はいやにあっさりと・・と思ったのだけど、いやはや
それがそう簡単でもなくってね。
ハンティングしたレプリカントモートンの言葉から、kは自分のアイデンティティを模索することになり
私たちは謎を解き明かすミステリーを楽しむのです。



いや~、面白かった。
ハリソン・フォードの登場は思いのほか遅いんですが
彼がそのまんまの役で登場することが貴重だし、逃避行後の思いを知る過程ではノスタルジーも相まって感無量になります。でも監督が凄いのは、単なる懐古主義に終わらせず、映画のさらなる深みに観客を誘ってくれるところ。

デッカードや新ブレードランナーkは勿論のこと
kのバーチャルな恋人AIのジョイ(『ノック、ノック』のアナ・デ・アルマス!)や
ウォレス社で製作される新しいレプリカントらなど
それぞれが背負わされた運命と彼らの葛藤をしっかり描いてくれていて深い。
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結局デッカードレプリカントなのか?については明白な答えは出していませんが
この映画は彼がレプリカントかどうかを追及する映画ではないのだと思いましたね。
それよりも人間以上に「人」としての人生を渇望するレプリカントやAIの姿が切なく
私たちは果たして彼らの手本になれる存在だろうかと思ってしまいます。

人としてどう生きるかを問う映画なのでしょう。

序盤は正直少し眠くなるところもあるんですが、あの涙は・・等々
言動の一つ一つに意味があったことに気づいて、今はもう再見したい気持ちでいっぱい。

映像と音に言及すれば
ダウンタウンの猥雑とした世界観を継承していて嬉しいし
美しい近未来映像も秀逸で、撮影関連でオスカーに絡んでくることは間違いなし。
地面に響く音響には、自分がそこにいるかのような感覚に陥るし、体感する映画になっている点で
ドゥニ監督のが新しい時代をけん引する監督なのを実感しました。

ロスに降り積もる雪が印象的。
二時間44分という尺ですが、色んなミステリーが解き明かされることもあり
後半長さを感じることはありませんでした。
美しく物悲しい 珠玉の一本です。




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