しまんちゅシネマ

映画ノート

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書



ただいま日本です。
あと5週間ほど滞在しますので、しばらくは飛び飛びの簡単投稿になりますがよろしくです。

今日は帰国前に観ていた『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を。

スピルバーグが監督し、アカデミー賞で作品賞、メリル・ストリープが主演女優賞にノミネートされた社会派ドラマです。

今年のノミネート作品を見るとトランプへの批判に繋がるものが多いですね。ま、しかし、元々作ろうとしていたものに、そのメッセージを加味させたものが大半だろうと思うんですが、スピルバーグは最初から本作をトランプ政権批判のために作ったそうで、知らずに観てもそれは分かりました。

トランプ批判と言っても、直接トランプが出てくるわけではありません。

時代設定は1971年。ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカに勝算がないとの調査結果が出たにもかかわらず国民を欺き通そうとし、さらには真実を伝えようとする新聞社を押さえ込もうとした当時の政府を、現政権に投影してるんですね。

圧力に抗い、ジャーナリズムを貫こうとする人々の姿が描かれる辺り、『スポットライト』に通じるものがあります。
メリル・ストリープは、亡き夫に代わって新聞社を任されることになった女性を演じているんですが、おっとりお嬢さんおばさんな佇まいから、徐々にジャーナリズム精神に目覚めいくさまを地味ながら堅実に演じていてうまいんです。

正直中盤まではウトウしてしまったんですが、後半の盛り上げ方はさすが。

映像で印象的なのは印刷所のシーン。スクープ記事が印刷された新聞がまるで昇り龍のように螺旋を描きながら天井に登っていくのに、妙に感動してしまった。

判決シーンでは会場に拍手が起こり、爽快感に包まれたし、トランプの未来を暗示するかのようなラストシーンには胸がすく思いでした!