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映画ノート

【映画】ユージュアル・ネイバー<未>

『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』のジョン・マクノートン監督による日本未公開スリラーです。

ユージュアル・ネイバー<未>(2013)

The Harvest

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【あらすじと感想】
両親を亡くしたばかりのマリアンは、祖父母の家で暮らすためNYから引っ越してくる。
近所を散策中、一軒の家を発見。好奇心から窓の中を覗くと、そこにはベッドに横たわる少年アンディが。
孤独な者同士、アンディと仲良くなるマリアンだったが、アンディの母親キャサリンからは訪問を拒否されてしまい・・

 

冒頭、少年野球のゲーム中、ピッチャーが胸に打撃を受け倒れるという事故が起きる。
病院に搬送されたピッチャーはすぐに心臓の手術を受け、一命をとりとめる。
その手術を担当したのが、アンディの母親キャサリンだった。

ということで、アンディのママは大変優秀な外科医であることがわかるのだけど
病気のアンディに対する態度が妙に冷たいのが気にかかる
どうやら、アンディは元看護師の父親リチャードのつてで入手した、無認可の薬剤を投与されている。
副作用が懸念される薬を使ってまで、なんの治療をしているのか。

そういえばピーター・フォンダが出てたなという好奇心から観始めたのだけど
これがものごっつ面白かった。

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とにかく前半は「???」で頭の中が覆いつくされる。
リチャードとキャサリンのぎこちない夫婦関係。
病身で孤独な息子アンディを誰とも会わせず、友達が訪問することも拒否するのは何故なのか。
何より、原題のHarvestは何を意味するのか・・

これはねぇ、ネタバレせずに観る方が絶対に面白いので
あまり多くを語れないんだなぁ。

実は邦題が途中で変わったようで、『ユージュアル・ネイバー』に続く副題はネタバレしてました。
なので、それはあえて書きませんけど、『ユージュアル・ネイバー』ってのもなんだかなぁ。
結局これは逆説的な言い回しでしょうね。
どこにでもいる、ありふれたご近所さんと思ったら、全然違ったよという。
百歩譲って良しとしましょう。
『ザ・ハーベスト』とされたって、もっと意味が分からないでしょうから。
でもね、終盤、全てが明かされると、原題『The Harvest』に、芯からゾっとしてしまうのですよ。

同じような映画(しかも大好き!)を知ってるけど、それも言及を避けます。
マッド・サイエンスものとだけ言っておくかな。

しかし本作は決して突拍子なSFではない、十分現実味のある話なのが面白いのですよ。

登場人物で強烈なのは母親役のサマンサ・モートン。怖い~。
抑えた演技の中に苦悩を表現した父親役のマイケル・シャノンとは好対照。

マリアンのおじいちゃんになんとピーター・フォンダ
優しそうで理解があって、、普通の身内というのはこういうもんだよという
アンディの家との比較対象でもあるのでしょうね。

ラストシーンを冒頭と同じく、野球のゲーム場面にする構成も絶妙。
しかも多くを語らなくとも、アンディのその後を容易に想像できる。実に巧い作りです。
とっても面白く観た一本でした。


映画データ
製作年:2013年
製作国:アメリ
監督:ジョン・マクノートン
脚本:スティーヴン・ランスロッティ
出演:サマンサ・モートン
   マイケル・シャノン
   チャーリー・ターハン
   レスリー・ライルズ
   ナターシャ・カリス
   ピーター・フォンダ