【映画】生きていた男
死んだ兄の名を名乗り、見知らぬ男がやってきた。男の目的は?
『80日間世界一周』のマイケル・アンダーソン監督によるミステリー・サスペンスです。
生きていた男(1958)
Chase a Crooked Shadow
【あらすじと感想】
富豪の美女キム・プレスコット(アン・バクスター)はバルセロナの別荘に一人で暮らしている。
ある晩、パーティから帰宅したキムは、見知らぬ男(リチャード・トッド)が家に上がり込んでいるのを発見。男は兄のウォードだと名乗ったためキムは動揺する。
兄は一年前、事故で死に、自分が遺体を確認したのだ。
兄と名乗る見知らぬ男は誰で、なぜキムの前に現れたのか?というお話ですが
いや、これまた本当に面白かったです。
男が兄でないことなど、実の妹なら間違うはずもないこと。
と思いきや、男の所持する身分証明書やパスポートはウォードであることを証明し、おまけにキムは一時期心身を病んでいた時期もあったらしいと分かってくると、男はウォード本人なのか?とも思えてくるわけで、警察署長のパルガス(ハーバート・ロム)同様、困惑するしかないのですよ。
そうこうするうち、プレスコット家にまつわるある事件が明かされ、男の正体見たりとなる。しかし、男を演じるリチャード・トッドがなかなかの色男で、キムへの密かな恋心を感じさせてみたり、呆れたはずの警察署長も懲りずにやってきてキムを助けようとしたりで、大好物の三角関係の匂いにワクワクしてしまったではないか。
見どころのひとつは、らせん状の山道を車でかっ飛ばすシーン!
「兄だというなら、そのドライビングテクニックを見せて」と、レーサーだったウォードの記録に挑戦させる。
徐々にスピードをあげ断崖絶壁の山道を猛スピードで走り始めると、助手席のキムの涼しい顔も次第に緊張感を帯びてくる。
思わずブレーキを踏んでしまいそうになるくらい、実にスリリングでした。
最後に、プロデューサーに名を連ねるダグラス・フェアバンクス・Jrが登場し
「映画の顛末は口外しないように」と釘をさす。
それだけアッと驚く結末が待ち受けているのです。
その昔はヒッチコックが劇場でメッセージを流したと聞くし、最近ではシャマランなど、メディアを通じて口外禁止を謳う映画も出てきてますが、ヒッチコック以前に口外禁止を、しかも映画の中に入れ込んでいたとは、実にユニークで先駆的ですね。
秀逸なミステリーでした。
映画データ
製作年:1958年
製作国:イギリス
監督:マイケル・アンダーソン
脚本:デイヴィス・オスボーン/チャールズ・シンクレア
出演:リチャード・トッド
アン・バクスター
ハーバート・ロム
アレクサンダー・ノックス
ダグラス・フェアバンクス・Jr