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映画ノート

【映画】2人のローマ教皇

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2人のローマ教皇(2019)

The Two Popes


2013年、ローマ教皇ベネディクト16世は自らの意志で退位し、コンクラーヴェによって選出されたホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が新教皇フランシスコとなった。

本作はその経緯を2人の対話によって描き上げる伝記ドラマです。


カトリックにもローマ教皇にも特に興味もなく、退屈するのではと懸念しましたが、18時間の船旅のお供に鑑賞。これが実に面白かった。


本来ローマ教皇というのは終身職らしいのだが、様々な問題を抱えた当時の教皇ベネディクトは在職に限界を感じ、退位を決意していた。そんな折、枢機卿を辞する許可を得るためローマ教皇に直々に会いに行くことになるホルヘ。同時にベネディクトもホルヘを招いていたが、それは保身のためホルヘを引き止めることが目的だった。


保守派なベネディクトと進歩派なホルヘ。相容れないところがある2人だったが、対話をするうちに宗教者としての互いの苦悩を分かち合い心を開いていく。そして神の声に従うが如く、互いの進むべき道を見出すのだ。

ベネディクトを演じるアンソニー・ホプキンス、ホルヘ役のジョナサン・プライス、ベテラン2人の演技が素晴らしい。

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最高の地位にあるローマ教皇がホルヘに告解し心の重荷を解くシーンには、安堵と同時に崇高な気持ちにもなった。

と言っても堅苦しいところはなく、人があるべきを問う普遍的な話なのがいい。

監督は『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス

ベネディクトのドイツ人気質をおちょくるユーモアも楽しく、2人の教皇のふれあいには思わず頬が緩む。

ドイツ出身のベネディクトとアルゼンチン出身のホルヘがピザを頬張りながらサッカーのワールドカップをテレビ観戦する。カードは勿論ドイツvsアルゼンチン。なんというタイミングの良さ(笑)

 

美しい音楽も印象的で、清々しい傑作でした。

Netflixありがとう。