しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】カサンドラ・クロス

志村けんさんの訃報に驚いてます。
人工肺を使っているということで、重篤だとは思っていたのだけど
しばらくしたら「大丈夫だぁ」とお茶の間に帰ってきてくれると、根拠なく楽観的に期待してたのに。
ご冥福をお祈りします。

コロナの猛威が止まらない今日この頃
先日『カサンドラ・クロス』が放映されたので観ました。

カサンドラ・クロス(1976)
The Cassandra Crossing

【あらすじと感想】
ジュネーヴの国際保健機構に急患を装った三人のゲリラが潜入し、銃撃戦が始まった。一人はガードマンに射殺され、残りの二人は細菌類が保存されている部屋へ逃げ込んだ。室内で撃たれた拍子に病原菌を浴びるが、一人は逃走し、ストックホルム行きの大陸横断鉄道へ乗り込んだ。

さて、ここからは密室である列車内で感染が広がっていくわけです。
列車内には神経外科医であるチェンバレン博士(リチャード・ハリス)が乗車しており、そのことを知った米軍のマッケンジー大佐(バート・ランカスター)は博士にテロリストを探し隔離するよう要請するんですね。
パニックを避けるため乗客には内緒で。
リチャード・ハリスは離婚した元妻(ソフィア・ローレン)と車掌の協力を得て車内を駆けずり回るものの、感染者は徐々に増えていく。
コロナショックの今見ると、うわぁ、それやめて と、テロリストの行動一つ一つにハラハラ。

ところが意外とツッコミどころ満載でね。
まず、細菌の扱いがぞんざい。

列車内は酸素濃度が高いから細菌の分裂が早まって短時間で治癒する?
どのくらいの時間が経った設定なのかわかり難かったですけど、感染した皆さん、短時間でピンピンに回復してたのには、マジかよと。

あと、テロリストを車外に出す手段がヘリコプターから籠を下ろして吊り上げるというのも、まず列車停めたらどうなん?って思ったな。
行き先を変更させてる時点で、運転手には協力を得てるはずだし。

そんなわけで、細菌パニック映画として観てる前半はツッコミどころを楽しんだわけですが、そこから映画はタイトルのカサンドラ・クロスが重要な意味を持つ、とんでもな方向へと突き進むんですね。

いやはや恐ろしい。
これイタリア製作らしいですね。
詳細には言及しませんが、アメリカが作ったら流石にこれはできなかっただろうという内容。


ラストは指揮を執った米軍大佐バート・ランカスターの苦悩を感じると同時に、
さらにその上こそが恐ろしいのだと心臓が凍り付く思いでした。

ジャンキーなマーティン・シーンや、ポーランドの収容所で妻子を失くしたスタラスバーグなど、結構サイドストーリーを詰め込むなぁと思ったら、後半彼らにもその背景に応じた重要な役割を持たせていてオールスターキャストを使いきる腕前に感心。

クライマックスの地獄絵は圧巻で、突っ走る列車同様、ノンストップで楽しめるパニック映画となってました。

 

映画データ
製作年:1976年
製作国:イタリア/イギリス
監督:ジョルジ・パン・コスマトス
脚本:ジョルジ・パン・コスマトス/ロバート・カッツ/トム・マンキウィッツ
出演:ソフィア・ローレンリチャード・ハリスバート・ランカスターイングリッド・チューリンエヴァ・ガードナー/ジョン・フィリップ・ロー/マーティン・シーン