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映画ノート

【映画】ペット・セメタリー(2019)

 

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ペット・セメタリー(2019)

【あらすじ】
家族ともに田舎に越した医師ルイスの新居の裏には動物の墓地「ペット・セメタリー」があった。ある日、飼い猫チャーチが事故で死に、隣人ジャドがルイスをペット・セメタリーへと連れていく。
ルイスにより埋葬されたチャーチは翌朝一家の前に姿を現すが荒々しい気性に変貌していた。やがて誕生日を迎えた娘のエリーがトラックにはねられ死んでしまう。ルイスはある行動に出るが……。

スティーヴン・キングのベストセラー小説の再映画化です。

愛する家族を亡くした父親の思いが暴走する点が、先日書いた『レプリカズ』に共通すると思ったので観てみました。

1987年版の詳細は忘れてますが、今回のリメイク版では事故で死んでしまうのがゲイジではなく姉のエリーに改変されていますね。
まったく作品を知らない人にはネタバレになってしまうんですが、ルイスは娘を突然の事故で亡くし、オリジナルのゲイジにしたのと同じことをエリーにもするんですね。
すなわち、今回死の世界から蘇るのはエリー。

オリジナル版は幼いゲイジが蘇った後に邪悪な台詞を吐く姿に無理を感じたんですよね。勿論、死の世界から舞い戻った者たちは者たちは肉体は生前のままでも、中身(魂?)は邪悪な魔物と思えば『エクソシスト』がそうであったように、人間の血肉をまとった悪魔が何を語ろうとおかしくはないのかもしれない。
だけどやはり、幼い子供が死んでしまうのはあまりに悲しいので、エリーとバトンタッチしたのは良いと思う。(エリーも子供には変わりないんですが(汗))

ところがね、このエリー役の子役が驚くほどに演技上手で邪悪なのです。
不気味な表情と演出で、思いっきり怖さを盛り上げてくれるんですが、なにかが物足りないのです。

子供を亡くし、蘇らせることのリスクを知りつつも、再び我が子を抱きしめたい父親の哀しみは幼いゲイジだろうとお姉さんのエリーだろうと変わらないのかもしれない。
でも凶暴化したエリーに手をかけるのが、単純に「恐怖から」に思えてしまって、それだとオリジナルの「ダメならリセット」的な「親の身勝手さ」が薄れる気がしたんですよね。
あと、ゲイジに手をかけるのは、そうすることが父親としての義務とも思えたのだけど、そういうのも今回はあまり感じなかった。

とはいえ、ちょっとJホラーっぽい演出もあって、ホラー耐性低めの私には十分怖かったし、恐怖演出も巧みでホラーとしては上出来だと思う。
また、エリーを蘇りの対象にすることで、死への思いや立ち向き方みたいなものが深く表現されたと感じる部分もありますね。
自分の死を自覚していたり、姉の死にトラウマを持つ母親レイチェルの深層心理を吐露させたりは、幼いゲイジではできなかったかもしれないですから。

ラストシーンには賛否があるようだけど、ハッピーゾンビ一家誕生的な緩い感じは好きですよ。
あと、ジャドがジョン・リスゴーだったのは最後まで気づかなかったわ(汗)