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映画ノート

【映画】エデンの東

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エデンの東(1955)
East Of Eden

【あらすじと感想】
24歳のキャルは農場を営む父が兄ばかりをかわいがっていると感じ、心を痛めていた。兄の恋人はそんな彼の心中を察するのだが……。

 

『31 days of oscar 2021』祭り ーDay4

古い作品が続きますが、今日も「アカデミー史上初」というくくりです。

今回は『エデンの東』。
ジェームス・ディーンが「アカデミー史上初」死亡後に主演男優賞にノミネートされた作品ですね。それ以前にも音楽関係や撮影、脚本の分野では「死亡後のノミネート」はありましたが、演技賞の分野でははじめて。しかも、その翌年にもディーンは『ジャイアンツ』で同賞にノミネートされてます。
どちらも受賞には至りませんでしたが、「死亡後、2年連続で」主演男優賞にノミネートされたのも、アカデミー史上初ですね。


さて、エリア・カザンが監督した『エデンの東』は、旧約聖書カインとアベルを下敷きに、親の愛情を渇望する主人公キャルが悩みながら父親と和解する姿を描く青春ドラマ。

原作者のスタインベックがディーンを主役に推したと言われていて、ディーンはこの映画で時代の寵児となりました。

正直、昨年初めてこれを観たときには、キャルの自己破滅的な行動の数々に引いてしまって、全然好きではなかったんですよね。ディーンも作品も(汗)

再見すると、キャルは意外とビジネスの才があり、父親に認められようと頑張る青年だったと気づきます。
父親がキャルを受け入れなかったのも、キャルが別れた妻の性格に似ていたからで、
妻に去られたことが、宗教に篤く、完璧主義者の父アダムの心に闇を作っていたことなど、初見では気づけなかった、キャルを取り巻く人々の事情がよく見えてきました。

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キャルの双子の兄アーロンに関しても、初見時には、キャルの悪意により絶望から出征し、婚約者は奪われ、その後の行方も語られない兄の方に同情してしまったのだけど、キャルが父親に認められ始めると自暴自棄な態度を見せるようになるアーロンは、思えばキャルとは合わせ鏡なんですよね。そんな人物描写の妙にも面白さを感じました。

 

まぁ、比べられるというのは、なにかと増悪を生みますよね。

某国のプリンセス(嫁)しかり・・

残念ながら『カインとアベル』の物語を知らないので、この映画の観方はよく分かってないです。「赦すことができれば、変わることができる」とキャルに説いたアブラの存在含め、聖書を理解したうえで、文学的に解釈すべき作品だろうと思うので、いつか原作を読んだうえで再見するとしましょう。