しまんちゅシネマ

映画ノート

2人のローマ教皇

f:id:puko3:20200113230225j:plain

2人のローマ教皇(2019)

The Two Popes


2013年、ローマ教皇ベネディクト16世は自らの意志で退位し、コンクラーヴェによって選出されたホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿が新教皇フランシスコとなった。

本作はその経緯を2人の対話によって描き上げる伝記ドラマです。


カトリックにもローマ教皇にも特に興味もなく、退屈するのではと懸念しましたが、18時間の船旅のお供に鑑賞。これが実に面白かった。


本来ローマ教皇というのは終身職らしいのだが、様々な問題を抱えた当時の教皇ベネディクトは在職に限界を感じ、退位を決意していた。そんな折、枢機卿を辞する許可を得るためローマ教皇に直々に会いに行くことになるホルヘ。同時にベネディクトもホルヘを招いていたが、それは保身のためホルヘを引き止めることが目的だった。


保守派なベネディクトと進歩派なホルヘ。相容れないところがある2人だったが、対話をするうちに宗教者としての互いの苦悩を分かち合い心を開いていく。そして神の声に従うが如く、互いの進むべき道を見出すのだ。

ベネディクトを演じるアンソニー・ホプキンス、ホルヘ役のジョナサン・プライス、ベテラン2人の演技が素晴らしい。

f:id:puko3:20200114010932j:image

最高の地位にあるローマ教皇がホルヘに告解し心の重荷を解くシーンには、安堵と同時に崇高な気持ちにもなった。

と言っても堅苦しいところはなく、人があるべきを問う普遍的な話なのがいい。

監督は『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス

ベネディクトのドイツ人気質をおちょくるユーモアも楽しく、2人の教皇のふれあいには思わず頬が緩む。

ドイツ出身のベネディクトとアルゼンチン出身のホルヘがピザを頬張りながらサッカーのワールドカップをテレビ観戦する。カードは勿論ドイツvsアルゼンチン。なんというタイミングの良さ(笑)

 

美しい音楽も印象的で、清々しい傑作でした。

Netflixありがとう。

テルマ

テルマ(2017)
Thelma

今日はお正月に観たノルウェー映画テルマ』の感想を。
ラース・フォン・トリアー監督の甥、ヨアキム・トリアーによるカミング・エイジものダーク・ファンタジー・ファミリー・ドラマです。
ジャンルを絞れない(笑)

【あらすじと感想】
主人公のテルマアイリ・ハーボー)はノルウェーの片田舎で敬虔なクリスチャンである両親に育てられた。大学生になり、オスロで一人暮らしを始めたテルマを心配し両親はたびたび電話をかけてくる。そんなテルマが初めて恋をしたのは同性のアンニャだった。その頃からテルマの周りで不可思議なことが起き始め・・

敬虔なクリスチャンの家で育ちながら、同性を好きになってしまう大学生のテルマ
過干渉の両親のもと抑圧されてきたまじめな少女が、アンニャのことを隠すため小さな嘘をつき、葛藤しながら自分探しをする。
カミングエイジものであると同時に家族との関係を描くファミリードラマでもあるんですが、そこにダーク・ファンタジーを入れてくるのがヨアキム流。

実はテルマにはある特殊な能力が備わっていて、アンニャに恋することで、封印されていたその力が再び解き放たれてしまうんですね。

初めは何のことかわからなかったいくつかの「ひっかかり」
両親が過干渉なこと、母親が車いすであること、冒頭の美しくも不穏なシーンの意味も徐々にわかってくる。衝撃のストーリーテリングが見事でした。

ダークファンタジーな部分は、神と悪魔のせめぎあい的な宗教ものを彷彿とさせながら、『キャリー』風スーパーナチュラルでもあり、監督も具体的な特定はしていないのかも。
それでも美しい映像でアーティスティックな映画に仕上げているあたり、この監督の作品は見逃せないなと思う次第。

 

 

今年もよろしくお願いします

あけましておめでとうございます!

皆さまいかがお過ごしでしょう。
おととし、昨年と我が家は喪中でしたので
今年は島に帰って初めて普通のお正月を過ごしています。

島の風習に則って、しめ縄、門松等も大晦日に手作りして飾りました。
本来家の門にもしめ縄を施すべきですが、門柱の間隔が遠すぎるので、今回は玄関前のみに簡単に。

でも翌日、玄関に鳥の糞が落ちていたので、不思議に思い見上げると、飾りのミカンをしっかり食べられてました。

鳥にもお年玉をということで よしとするか。

元旦の午前中は本家である夫の実家で新年のあいさつを交わした後、親戚を3軒新年回り。そのあと家族7人で初詣に出かけました。
日中は長袖のTシャツ一枚で過ごせるほど、穏やかなお正月です。

華麗なるギャツビー(1974)

f:id:puko3:20191222134026j:plain

華麗なるギャツビー(1974)
The Great Gatsby

記事が追いつきませんが・・
ヒンデンブルグ』で出演者を調べたときに、主要キャストであるカール・ベルト役のウィリアム・アザートンが『華麗なるギャツビー』の主題歌の歌でクレジットされていたので確認したくなりました。
冒頭と終盤にラジオから流れる「What'll I Do?」を甘い声で歌うのがアザートンでしたね。

さて『華麗なるギャツビー
宮殿のような自宅で毎週末、派手なパーティを開く大富豪の正体は・・・と
レッドフォード演じるギャツビーの謎に迫るのですが
なんともやるせない映画でした。

好景気に沸いた狂乱の1920年
金持ちは絢爛豪華に暮らしていて、ギャツビーはその代表と思いきや
実は貧しさゆえに恋に破れ、愛しき元恋人に認められようと
必死にのし上がってきた男だったんですね。

先に書いた「やるせない」というのは、ギャツビー視線でみた感想。
良からぬ仕事にも手を出し、財を成したギャツビー
愛しのデイジーミア・ファロー)との再会を果たしたものの、その顛末があまりに悲しいではないですか。

原作はF・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー
「グレート」が「華麗なる」になったのは、見目麗しきレッドフォードを使ったからなのか。
フィッツジェラルド的には、おそらく「グレート」は「愚かな」の反意語的に用い
空虚な時代を皮肉ったのではないかしら。

デイジーの最後の台詞にはがっかり通り越して腹が立つし、そんなデイジーと同じように金持ちになって、再び愛されたいと願ったギャツビーが本当に哀れだった。
デイジー側も、ギャツビー側も時代に翻弄されたと言えばそれまでか。

観終わって、冒頭部分を見返すと
画面には最初には気づかなかった虚しさが漂っていました。
豪華と思えたその屋敷にすでに人気(ひとけ)はなく
ラジオから流れる「What'll I Do?」は、ギャツビーの戸惑いを歌っているようにも聴こえるね。霊魂となって彷徨いながら・・・。


THE GREAT GATSBY- WHAT'LL I DO (Song Written by Irving Berlin 1923)

 

Yahoo!ブログさようなら

長い間お世話になったYahoo!ブログが消えてしまった。
2012年以降、あちこちをめぐってきた私だけど、
楽しかった思い出が消えてなくなるようで、なんだか寂しい。

今回、Yahoo!移行作業をしながら改めて記事を見直すと
昔の記事は何も知らず恥ずかしい一方で、素直に映画をとらえてもいて案外いい(笑)

訪問者が増えてくると、生意気にも「レビューとは」みたいなことを考え始め
新しい映画の情報を発信しなければという変な使命感も生まれた。
結果映画の説明に終始し、素直に映画の楽しさを伝えることができなくなった気がする。

さぁて、ここらで心機一転。
映画一年生のあの日に戻って、新鮮な気持ちで映画に向きあおう。
映画ブログにこだわる必要もない。
昔みたいに日々のあれこれも紹介し、まずは自分が楽しめるものを。

時間が取れないこともあり、映画記事はおそらく簡単になるはずだし
意味不明のエッセー的になることもあるかもだけど、
少しペースを上げながらブログを続けますので、よろしくお付き合いください。