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映画ノート

さよなら、僕のマンハッタン

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さよなら、僕のマンハッタン(2017)

The Only Living Boy in New York

 

【あらすじと感想】
主人公のトーマス(カラム・ターナー)は、ニューヨークの外れに暮らす文学青年。
ある日、アパートの隣に中年男(ジェフ・ブリッジス)が越してくる。
ジェラルドと名乗るその男はよれた風情ではあったが、本に精通し、文学的な視点で語りかけてくる。
いつしかトーマスは父親との確執や、恋人のことなど相談するようになっていた。

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ニューヨークを舞台にしたドラマです。
実はニューヨークに行ったことがなくて、その街がどんななのかよく知りません。
映画やニュース映像で観る限り、その地は時代や場所によって、さまざまな顔を見せていますよね。

本作でも会社経営者であるトーマスの父イーサン(ピアース・ブロムナン)は洗練された高級住宅街に住み、トーマスがさびれた街のアパートに暮らしていることを嫌がっている。70年代にアーティストたちがしのぎを削ったマンハッタンは、かつての情熱を失ったように描かれています。

この映画の登場人物も主に二つのグループに分かれていて、トーマスはさびれたマンハッタンがしっくりくるアーティスト派。父親や彼を取り巻く面々はアートよりもお金のビジネス派といった感じ。

どっちがいい悪いじゃなくて、これはニューヨーク自体の変遷をあらわしてもいるのでしょう。


父イーサンが息子が作家を目指すことをよく思っていないのは、将来性のなさを憂いてのことと思えたのですが、その裏にはもっと複雑な事情がありました。

ここでは明かしませんが・・

そんなわけで、ハンサムで金持ちの父にあこがれを持つ反面、自分は疎まれていると距離を感じてしまっているトーマスなのですが、ある日、彼は父が美女(ケイト・ベッキンセイル)とデートしているところを目撃してしまい、憤ります。
孤独から精神に不調をきたす母親を苦しめることは絶対に許せないのです。

かくして家庭内のゴタゴタに発展・・。
と思いきや、意外な方向に事態は動き、トーマスは本当の自分をみつけることに。

正直、トーマスが物事を理解し受け入れる部分に「物分かり良すぎ」と、つっこみたくはなるものの、家族の物語として穏やかな余韻を残すのはよし。

マンハッタンの片隅はひなびてしまってるかもしれない。
本作から流れるのは、忘れられたアーティストたちの哀愁であり、憧憬です。
それでも彼らには確かにプライドがあり、だからマンハッタンは今もいかしているのだと、そんな映画に感じました。

なんにせよ、人それぞれに得意分野があり、好きなことを続けられるのが幸せですよね。

 

監督は『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ。
原題の『The Only Living Boy in New York』は作中、風変りの隣人であるジェラルドが書き上げた小説のタイトルですが、音楽に詳しい方はサイモン&ガーファンクルの『ニューヨークの少年』の曲名(本作の主題歌)だとご存じでしょう。
他にもボブ・ディランなどちょい懐かしめのポップスが使われ、爽やかに音楽シーンを彩るのは、音楽に精通し長年ミュージックビデオを手掛けた監督ならでは。

 

 

 

【Personal Note】
最近、書道教室に通い始めました。
気軽に考えていたのだけど、楷書、行書、草書、かな など各自体ごとに昇級する仕組みで、毎月それぞれの清書を提出しなければいけないと気づきました(汗)

筆を持つのは45年ぶり。昔取った杵柄などどこへやらのへたくそぶり(笑)
ぶりぶりと奮闘しながら、先日ようやく3種類仕上げ、第一回目の提出を果たしましたが、これがなかなか時間を取られるのですよねぇ。
慣れたらちょちょいと書けるのかなぁ。。