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映画ノート

【映画】マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

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 マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ(2015 アメリ
原題:Maggie's Plan
監督/脚本:レベッカ・ミラー
出演:グレタ・ガーウィグイーサン・ホークジュリアン・ムーアビル・ヘイダー/マーヤ・ルドルフ/トラヴィス・フィメル
【あらすじ】
ニューヨークの大学で働くマギーは、妻子持ちの文化人類学者ジョンと恋に落ちる。仕事ひとすじで家庭を顧みない妻ジョーゼットに愛想を尽かしたジョンは離婚を決意し、マギーと再婚。数年後、ジョンとマギーは子どもにも恵まれ幸せな毎日を送っているかに見えたが、小説家になるため仕事を辞めたジョンとの生活にマギーは不安を感じていた。

【感想】
 ニューヨークを舞台に3人の男女の奇妙な関係を描くハートフルコメディです。

グレタ・ガーウィグ演じるマギーは、数学に秀でた男性の精子の提供を受け、シングルマザーになることを計画中のニューヨーカー。偶然知り合った小説家志望で妻子持ちのジョン(イーサン・ホーク)と小説を通じて親しくなり、やがて求婚され結婚するマギー。数年後、マギーには可愛い女の子が生まれています。

ところがジョンと幸せな結婚生活を送っているはずのマギーの心境は複雑。
元妻との間にできた子供たちの世話もマギーに任せ小説に没頭するジョンとの暮らしに不安を感じ、マギーは、まだジョンに思いを残す元妻ジョゼットにジョンを返すことを計画するのです。

グレタ・ガーウィグは実はたまたま観た出演作2本があまりピンとこなくて、これまで興味を持てない女優の位置づけでしたが、本作を見てイメージが変わりました。今やメグ・ライアンに代わるニューヨークの似合うラブコメ女優とされるグレタ。
決して垢ぬけてはいないし、メグ・ライアンみたいにキュートというのでもないけれど、不器用でも前向きに、自分らしく生きるヒロインがハマります。
ストーリーだけ読んだらまるで共感できそうにないマギーというキャラも、グレタだと嫌味がなくて自然に受け入れられるんですよね。

マギーの両親のエピソードに触れているから、マギーがシングルマザーを目指していたことも、結婚生活で孤独を感じることには耐えられないことも理解できる。マギーの部屋のインテリアや友人との会話からも、マギーの飾りっ気のない正直さがうかがえる演出は、脚本も手掛ける女性監督レベッカ・ミラーのうまさでしょう。
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ジョンにイーサン・ホークをキャスティングしてるのも絶妙ですよね。
そもそも好きな小説を書くことが最優先で、それを支えてもらいたいだけのジョンこそがトラブルの元凶なわけだけど、そんな優柔不断な役も大人子供が板についたイーサンだと憎めない。得な男だよねぇ。

アリスのままで』とはまた違った種類のハイソな知的さを漂わせつつも、可愛い大人の女の情念と懐の深さを演じてみせるジョゼットにジュリアン・ムーア。お団子ヘアにモフモフファッション、フレンチ訛りもかわゆす。
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ビル・ヘイダーは相変わらず信頼できるバイプレイヤーだし、ガイ役のトラヴィス・フィメルもいい。

ラストシーンから想像するに、おそらくマギーはジョンに気兼ねなくオリジナルのプランに戻るのでしょう。
パパ付きのプランBもいいのでは?など想像を膨らませてみるのも楽しい。

複雑で滑稽で、でもそれぞれの方法で幸せを探そうとするニューヨーカーの生きざまを小粋なラブコメにした本作
ウディ・アレンほどくどくなく、終始ニマニマになる面白さがありました。これ好き。
でも邦題の副題「幸せのあとしまつ」っていうのはなんか違う気がするなぁ。



ちなみに監督のお父さんは劇作家で『クルーシブル』などの脚本も手掛けるアーサー・ミラー
夫はなんとダニエル・デイ=ルイスだそうです。





お気に入り度★★★★


今年からお気に入り度で好き加減を(★5つで満点)記録に残すことにしました。
世間の評価とはかけ離れるものもあるかと思いますが、ご了承ください。


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