【映画】サヨナラまでの30分
間が空きましたが、音楽関係の映画をもうひとつ
サヨナラまでの30分(2019)
製作国:日本
監督:萩原健太郎
脚本:大島里美
出演:新田真剣佑、北村匠海、久保田紗友、葉山奨之、上杉柊平、清原翔
【あらすじと感想】
人づきあいが苦手で、就活難航中の颯太は、ある日カセットテープを拾ったことで、見知らぬ若者の姿が見えるようになる。
それは一年前に事故で死んだミュージシャンのアキ。その姿は颯太にしか見えなかったが颯太がカセットをかけると、何故かその間アキは颯太の身体を借りて自由に行動することができるのだ・・
久しぶりに邦画の感想を。
死んだ若者の魂が別の若者の身体に入り、生前、すんでのところで叶わなかった夢を実現させようとするお話です。
こう書くとホラーみたいですが、そうならないのは
死んだ若者アキを演じるのが新田真剣佑演じるイケメンで、明るくポジティブなキャラであることがひとつ。
あと、魂が入れ替われるのは、カセットテープを再生する30分だけで
しかもカセットの再生ボタンを押せるのは、颯太だけという点もポイントでしょうか。
アキは勝手に颯太の身体に入り込むことはできず、颯太にカセットを再生して欲しいとお願いするしかない。
家主に呼び入れてもらわなければ家に入ることができない吸血鬼よりも不自由で、控えめな幽霊なのです。
いや、幽霊というのは適切じゃないかな。
あいまいかもしれないけれど、「魂」、もしくは「想い」と言ってあげたい。
アキは颯太の中にいるときでさえ、仲間からすると「アキに雰囲気の似た新しいヤツ」でしかなく、かつての仲間と新たな絆を築くのは、颯太であってアキではないのです。
また、アキにはバンドメンバーとして活動を共にした可愛い恋人カナがいます。
バンドを去り、音楽の世界からも遠ざかってしまった彼女に、再び音を奏でる楽しさを取り戻して欲しいと願うアキ。
けれど、颯太もカナを好きになり始めていて
結局アキは、自分はカナとは違う世界にいることを思い知らされるのですね。
しかし、重要アイテムである「カセットテープ」の
上書きすることは、それまで録音したものを消去するわけではない、という性質を物語のテーマと重ねて、映画はある終結を迎えます。
作り手の意図を汲めば、前向きで優等生的なラストと言えるでしょう。
でもアキの気持ちを思うとやっぱりちょっと残酷で、ほろ苦い切なさが残る
そこが個人的にはよかったと思います。
初めて知ったのだけど、アキ役の新田真剣佑は千葉真一の子供だって(遠い目)。
新田も北村匠海も歌がなかなかうまく、音楽映画、青春映画として楽しめました。
久保田紗友さんも透明感あって凄く好き。