しまんちゅシネマ

映画ノート

マイ・プライベート・アイダホ


1991年(米)監督・脚本: ガス・ヴァン・サント 出演: リヴァー・フェニックス /キアヌ・リーヴス /ジェームズ・ルッソ /ウィリアム・リチャー      ト /キアラ・カゼッリ /ロドニー・ハーヴェイ / ジェシー・トーマス 【ストーリー】ストリート・キッズのマイク(リヴァー)は、ポーランドの街角に立ち、体を売っては日々暮らしていた。彼は、ナルコレプシーと言う持病のため緊張すると眠ってしまう。そんなマイクの親友は、ポーランド市長の息子でありながら、家を飛び出し、やはり男娼をして生きているスコット(キアヌ)。ある日マイクは、彼を捨てた母を捜す決意をし、スコットと共に兄リチャードが暮らす故郷アイダホへと向かう。

■感想
ドラッグストア・カウボーイ」のガス・ヴァン・サント監督の作品。
前から気になってて何度も観ようとしてはナルコレプシーのマイクのように眠ってしまってました。^^;

観終えた感想はというと、やっぱり切ないんですね。
リヴァーが演じるマイクは、父を知らず、12歳で母親に捨てられた生粋のストリート。
一方そのマイクの世話をやくキアヌ演じるスコットはマイクとは正反対の生い立ちの美青年。
市長の息子でありながら親に反発し、一時的にストリート生活を楽しんでいるようなもの。

そんな二人がマイクの母親を探すため、故郷アイダホ、イタリアなどを旅する。
これはマイクの自分探しのロード・ムービーと言っていいのかな。

リヴァー・フェニックスが切な過ぎです。
彼の演じるマイク。親にも捨てられ、愛に枯渇した若者の姿が脆くて危くて…。
尖って転がって…、小さな尖りがポキン、パキンと傷つき壊れていく感じなんですね。
この作品で彼はカンヌはじめ数々の映画際の主演男優賞を受賞しています。

キアヌも若くてなんだか新鮮。主演二人の好演が生きた作品でしょう。
ドラッグ、ストリート、ゲイ、近親相姦などの問題も淡々と描かれます。

後半は切なさがつのって作品に引き込まれました。
長閑なアイダホの風景も美しく、はかなさあふれる映像表現も秀逸。

説明に走らず、感覚的な部分も多いので、私にはちょっと分かりにくかった。
最初のつかみが弱いのも難点かな~。
何度も観るともっと良さが分かるような気もします。



最後にこれはネタバレですが


ラストシーン、アイダホに再び戻ったマイク。
ナルコレプシーで一人長い長い一本道に倒れて眠ってしまう姿は哀しいものがありました。

一台目に通りかかった車の二人組みの一人が、マイクの靴まで持っていってしまいます。
「靴がなかったら、目がさめたマイクはどうやってこの道を歩いていくの?!」と
この場面は声をあげて泣きたくなりました。


★★★*☆