しまんちゅシネマ

映画ノート

あなたになら言える秘密のこと


2005年(スペイン)監督:イザベル・コイシェ出演:サラ・ポーリーティム・ロビンス/ハビエル・カマラ/エディ・マーサン/スティーヴン・マッキントッシュ   ジュリー・クリスティレオノール・ワトリング/ダニエル・メイズ【ストーリー】ひたすら孤独な毎日を送る若い女性、ハンナ。工場でも黙々と仕事をこなす彼女だったが、ある日、働き過ぎが問題となり、無理やり1ヵ月の休暇を取らされてしまう。宛てもなく長距離バスに乗り込んだ彼女は、ひょんなことから海の真ん中に浮かぶ油田掘削所でジョゼフという男性の看護をして過ごすことに。彼は事故でひどい火傷を負い、一時的に視力を失っていた。それでもユーモアを失わないジョゼフは彼女に名前や出身地を質問するが、ハンナは決して答えようとしない。この油田掘削所で働いている男たちは、それぞれに事情を抱えた者たちばかり。閉ざされた空間でそんな風変わりな男たちと生活を共にするうち、ハンナも少しずつ人間らしい感情を取り戻していくが…。
■感想
ティム・ロビンスが出てるから。
そのくらいの理由で観てみた作品でしたが、これはびっくりするほど重かった。。

彼女の名前はハンナ(サラ・ポーリー)。友だちもなく、毎日タッパに入れたチキンとライスとリンゴを食べる。
【いつもと同じ】毎日を繰り返す。それがまるで自分に課した罰とでもいうように・・・。

ある女性に電話をする。「ハンナね」と女性が問いかけても、ハンナは何も言わない。そして結局電話を切る。。

タイトルからしてハンナには何か秘密がありそうだとは思うものの、中盤までそれが明かされず、
外界との心の接触を完全に遮断するほどの、どんな思いがあるのだろうと気になってきます。

海に浮かぶ油田掘削所で期間限定のナースとして働くことになったハンナ。
ハンナが担当した患者ジョゼフ(ティム・ロビンス)もまた、身体の傷だけでなく、心にも傷を抱えた男性でした。

それでも、明るくハンナに話しかけるジェゼフに、いつしかハンナの心は少しずつ溶けていく。

ついにハンナがジョゼフに秘密を語るのですが。。。


ラブストーリーというジャンルではくくれない作品です。
一種の反戦ものと捉えた方がいいでしょうね。

ハンナのように、大きな心の傷を負い、悪夢から覚めることの出来ない人は、
この世にはまだたくさんいるんだろうなぁと、ちょっと愕然としてしまいます。


幼い声で語られるナレーション。その声の主が誰なのか、最後の最後になって明らかになる訳ですが、
ハンナの心の傷の深さをさらに思い知らされるとともに、少しだけ明るい光を感じることが出来ます。

安易なラブストーリーで終わらないところも、よい後味となっていると思います。

サラ・ポーリーティム・ロビンスの静かな演技が心に沁みます。



★★★★☆