しまんちゅシネマ

映画ノート

ヒッチャー


1986年(米)監督:ロバート・ハーモン脚本:エリック・レッド出演:C・トーマス・ハウエル/ルトガー・ハウアージェニファー・ジェイソン・リー/ジェフリー・デマン【ストーリー】どしゃ降りの雨の中、テキサスのハイウェイで拾ったヒッチハイカー。その男は、自分が殺人鬼である事を告げるとナイフを取り出す。主人公の青年は、辛くもその難を逃れたものの、それ以来、殺人鬼と青年の死を賭けた恐怖の“鬼ごっこ”が始まった……。
■感想
今週の注目映画の中で、みなさん口を揃えて「怖い!」と表現した作品「ヒッチャー」を観ました。
今年ショーン・ビーン主演でリメイクされた作品でもあります。実際にはこれ3度目のリメイクだそうで、
そのオリジナルということも気になりました。

なるほど、確かにこれは怖い。そして面白かったです。

舞台はテキサスのハイウェイ。こういうの多いな。
ヒッチハイクする一人の男を拾った青年が、背筋も凍る恐怖を体験することになります。

車に乗り込んだ時から、男は不気味さ満開でしたね~。
ジョン・ライダーと名乗るこの男、実はとんでもないシリアルキラーでした。
自ら殺人鬼であることを告白する男。
青年はすきをついてなんとか男を車外に放り出し、難を逃れたかに思えたのですが、
これが恐怖の始まりだったのです。


この作品の怖いところは、まず殺人鬼である男の得体の知れぬ不気味さです。
また、事件に巻き込まれる青年はどこにでもいる普通の青年で、
このとてつもない恐怖が、誰にでも起こりえること、しかも巻き込まれ型の不可抗力である点です。
そのあたりは、スピルバーグの「激突」に通じるところでしょう。

青年は殺人鬼と間違われ警察にとらわれることになるのですが、
何を言っても信じてもらえず、アイデンティティをなくしていく。これも恐い。
絶望感に襲われる青年の姿が痛々しいのです。

そんな中、唯一青年を信じてくれる存在が、ダイナーで働く少女ナッシュ(ジェニファー・ジェイソン・リー)。
この頃のジェニファー、隠れどすこい体型です。が、、その結末もかなりひどいことに(恐)

殺人鬼ジョン・ライダーを演じるのはルトガー・ハウアー。みんなが恐い!というのも納得。
彼の不気味な存在感が、この映画の核でもあります。

追いかけられる青年ジムを演じるのはC・トーマス・ハウエル
無垢な青年が恐怖と絶望感を体験し、次第に彼の心の奥に人を憎む心が芽生えていきます。

それこそが殺人鬼ジョン・ライダーの真の狙いだったのかと気付くとき、背筋が凍る思いがしました。
こういう描き方ってちょっとキングっぽいね。

「激突」「ロードキラー」「スクリーム」「テキサスチェーンソー」などのホラーな要素を含み、
しかも根深い悪の心根を見せつけられるようで、なるほど恐い映画でした。



★★★★☆