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映画ノート

シンドラーのリスト


1993年(米)監督:スティーヴン・スピルバーグ出演:リーアム・ニーソンベン・キングズレーレイフ・ファインズ/キャロライン・グッドオール/ジョナサン・サガールエンベス・デイヴィッツ/マルゴーシュ・ガベル/シュムリク・レヴィ【ストーリー】39年、ポーランド南部の都市クラクフにドイツ軍が侵攻。ドイツ人実業家のオスカー・シンドラーは、一旗揚げようとこの街に入り、軍の幹部たちに取り入り、軍用ホーロー容器の事業を始める。軍から払い下げてもらった工場の無償の労働力としてユダヤ人を提供され、事業は軌道に乗るが、ナチによるユダヤ虐殺をまのあたりにしたシンドラーは、密かにユダヤ人の救済を決意する。
■感想
恥ずかしながら、内容も知らないまま、難しそうという理由で今まで避けて来た作品でした。

93年のアカデミー賞で作品賞をはじめ7部門での受賞を果たしたこの作品は、
ナチスによるユダヤ人虐殺が行われた第二次大戦下のポーランドで、
1200人のユダヤ人を救った実在のドイツ人実業家の姿を描いています。

自身もユダヤ人である、スティーヴン・スピルバーグ監督にとって「伝えなければならない」歴史的事実。
シンドラー自身の描き方に、事実ではない部分があるにせよ、
600万人をのぼるユダヤ人が、ナチスにより虐殺されたことは事実であり、
実業家オスカー・シンドラーが労働力という名目で、ユダヤ人をもらい受け、
それによって救われたユダヤ人が1000人以上だったことも事実。

えてして、グロに走りがちなホロコーストものですが、モノクロの映像によるためか
グロさをそれほど感じることはありません。

それでも、この作品ほど切実で、緊迫感を感じる作品はなかったように思いますね~。

本当にこんなことが?と目を疑いたくなるシーンもたくさん。
その中でも子供たちが逃げ惑う姿はたまりませんでした。
モノクロ映像の中、パートカラーでハイライトされた、赤いコートを着た少女。
少女の”その後”がわかるとき、虚しさがピークに達してしまいます。手法としては巧いですよね。



ナチスに属しながら、ユダヤ人の虐殺に抵抗しようとした実業家オスカー・シンドラーリーアム・ニーソン)。
彼と対照的に描かれるのがナチス将校ゲートを演じたレイフ・ファインズ
彼は悪魔の化身なのでしょうか。ユダヤ人の殺戮をゲームのように楽しむ姿には虫酸が走りました。
良い人も演じることのできるレイフ・ファインズが、ここまで邪悪な男を演じ切れたことにも驚きです。
シンドラーの仕事の経理を担当するユダヤ人イザックにボブ・キングスレイ



戦争が終わり、「もっと助けることも出来たのに‥」とシンドラーが悔やむシーンもたまりませんね。
人の命の大きさを感じるとともに、同じ人間がどうしてここまで残酷になれたのか、と
戦争の恐ろしさを痛感せざるをえません。
最後のオスカーの演説を耳にするユダヤ人たちも、心から感謝という表情でもなかったのも印象的でした。
実際に彼らの家族も知り合いも、、多くのユダヤ人は殺されてしまったのですから。。


今更ながら、、本当に凄い映画でした。




★★★★*