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映画ノート

たたり


1963年(米)監督:ロバート・ワイズ出演:ジュリー・ハリス/リチャード・ジョンソン/クレア・ブルーム/ラス・タンブリン/ルイ・マクスウェル【ストーリー】ニューイングランドの古い屋敷には、怪奇現象が起こるという噂が常に付きまとっていた。超常現象の研究家であるマークウェー教授は、その噂の真偽を確かめるべく、二人の助手と共にやってくる。やがて屋敷に不可思議な現象が起こり始めた……。

ハロウィンホラー祭り第4弾 このタイトルはどうなんだろう‥『たたり』!

■感想
超常現象を研究する教授率いる研究チームが、怪奇現象が起こるという「丘の家」に滞在し、
その館のもつ力に翻弄されるというお話です。



教授(リチャード・ジョンソン)に助手として同行するのが、子供の頃に不思議な経験をしたというエレナー(ジュリー・ハリス)と、霊的な感受性の強いセオドーラ(クレア・ブルーム)。そして屋敷の相続者であるルーク。
滞在一日目の夜から、屋敷には次々に超常現象が起こり始めます。

いわゆるお化け屋敷的な怖さを味わう作品かと思いきや、これがいい意味で裏切られる事になりました。
原題は『THE HAUNTING』。『たたり』っていう邦題からは、陰鬱な心霊ものを想像しがちですが、
映画の中で“霊”は一切登場しません。

確かに家で起こる怪奇現象は怖いのですが、主体となるのは助手エレナーの内なる恐怖との闘いでした。
この家に魅せられ、この家を離れる事を怖れるエレナー。
過去に何があったのか、この家との繋がりがあるのかなど、想像力をかき立てられます。

このエレナーを演じるのが『エデンの東』のジュリー・ハリスなんですね。
自責の念と過去のトラウマをもち、家のもつ力に翻弄され、次第に壊れていくエレナー。
彼女の存在が、この作品を単なる恐怖映画ではなく、哀しく刹那的な物語へと昇華させてるんですね。

「音」も怖いですが、モノクロ映像の美しさも館の神秘性を高めています。
ドアが生き物のようにうねる特撮映像も見物。

監督のロバート・ワイズは『ウェストサイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』の製作・監督をつとめ、ミュージカルの世界で知られる巨匠ですが、この二つの名作の間に、こんな秀作ホラーも撮ってたんですね。

心霊もの苦手でも、十分に楽しむことの出来るクオリティの高いホラーでした。



★★★★☆