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映画ノート

ストップ・ロス/戦火の逃亡者


2008年(米)監督・脚本:キンバリー・ピアース出演:ライアン・フィリップアビー・コーニッシュジョセフ・ゴードン=レヴィットチャニング・テイタム   キアラン・ハインズ/ヴィクター・ラサック/ティモシー・オリファント/ロブ・ブラウン/メイミー・ガマー【ストーリー】イラクの過酷な戦場からアメリカに帰還した若き兵士たち。戦場で多大な傷を心に負った2等軍曹のブランドンは、兵役の終了と同時に軍を除隊する決意を固めていた。しかし、ストップ・ロスが彼に適応され、再びイラクへの赴任が命じられる。猛抗議が受け入れられず、カッとなったブランドンは軍から脱走。軍と警察から追われる逃亡者になりながらも、理不尽な制度に戦いを挑むのだが…。
■感想
ボーイズ・ドント・クライ』のキンバリー・ピアースが、「ストップ・ロス」制度に焦点を当て、イラク戦争を闘う若者の姿を描いた作品です。
タイトルにもある「ストップ・ロス」って聞いたことありますか?
これは任期を終えた兵士に、大統領令によってその任期の延長を義務づけるというもので、イラク戦争における兵士の不足を補うための制度なんですって。

本作でこの制度を適用されてしまうのは二等軍曹ブランドンを演じるライアン・フィリップ君。
彼は国や家族を守るためにと志願し、イラクで真面目に任務を果たして来た若者です。
そのリーダーシップが評価され、故郷テキサスに凱旋するほど優秀で、忠実に任を努めきたものの、
戦争で負った心の傷は大きく、任期終了とともに除隊し、新しい人生を歩むことを構想していた矢先、
「ストップロス」が適用され、任期延長を命令されてしまうのです。



そもそも志願して入隊したはずなのに、延長を強制される。
再び戦地で闘い、そこで命を落とすものも多いのですから、たまったものではありません。

この映画でもライアン君は猛抗議。しかし受け入れられず軍を飛び出した彼は逃亡者として追われる身になってしまうんですね。捕まれば禁固刑。昨日までは英雄だった彼が、ですよ。なんという理不尽!

映画の前半では、戦場での激しい攻防が描かれ、その体験が心身に多大なダメージを与える様が生々しく描かれます。
そして後半は脱走兵と化した主人公の抗議の逃亡が描かれるのですが、、。
うーん、とにかくこれはやるせない。

実際にこの制度に抗議し、ワシントンDCで抗議デモを決行した兵士もいたらしいです。
最終的なライアン君の選択は切なさを感じるものでした。
描き方によっては作品も違ったトーンをもつものになるでしょうね。

しかしながら、兵士の心の傷を繊細に描きあげた本作は、「ストップ・ロス」という制度を世に知らしめるという意味からも大きな役割を果たす、秀逸な戦争映画に仕上っています。
でもこれ、あっという間に未公開が決まっちゃったのですね~。もったいない。


ライアン君の逃亡を助ける、友人の婚約者にライアン君と恋の噂もあるアビー・コーニッシュ
兵士仲間にジョセフ・ゴードン=レヴィットチャニング・テイタム
彼らもそれぞれの選択をするのですが、ジョセフ・ゴードン=レヴィット君はここでも脆く切ない役を好演していて
目を惹きます。今後も注目したい気になる俳優になっちゃいましたね。
あ、もちろんライアン君もいいです。私の中で株上昇しっぱなしですよ~。


★★★★☆






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