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映画ノート

【映画】アパートメント・ゼロ


アパートメント・ゼロ(1988)イギリス
原題:Apartment Zero
監督:マーティン・ドノヴァン
出演: コリン・ファース /ハート・ボックナー / ドーラ・ブライアン/ リズ・スミス/ ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ


エイドリアンは部屋代の節約のため、ルームメイトを募集した。やってきたジャックという青年は、ごく平凡な男に見えたが……。

英国男優総選挙 特集 10回目
 
カウントダウンといきたいところだけど諸事情のためランダムになります
今日はマイトップ10、5位にランクインのコリン・ファース !!

アルゼンチン生まれのマーティン・ドノヴァンが監督&脚本を務めたサスペンス。
ブエノス・アイレスを舞台に神経症気味の青年が体験する恐怖を描く作品です。

コリン・ファースが演じるのは映画館を経営する青年。
部屋代節約のためルームメイトを募集し、ジャック(ハート・ボックナー)という青年を気に入ります。

「洗濯のついでだから」といきなり汚れ物を持っていこうとするエイドリアンに戸惑いながらも親切を受け入れる一見人当たりのいいジャックですが
彼には裏の顔があって・・・という話

こう書くといかにも巻き込まれ型スリラーのように思うところだけど
ちょっと違いました。
いや、実際ジャックの周りでは殺人事件も起こっていて
彼の正体を暴くスリラーではあるんですが

本作はむしろ、ようやく信頼できる友を見つけたエイドリアンが
ジャックを失わないかと恐怖に怯える話しなんですよね。

愛する母に死期が近づいている今、ジャックが怖れるのは
また壁に向かって喋るだけの自分に戻ること

コリンはこのときまだ20代と思われますが、
演技的にはやや大げさではあるものの、孤独と不安に苛まれた
壊れた青年をナイーブに演じていて新鮮です。


映画館を経営する映画フリークでもあって
ジャックと2人でタイトル当てゲームをする様子が微笑ましいのですよ。

映画をそれほど好きでもないジャックに登場人物3人を言わせて
エイドリアンが答えるというゲームなんですけどね
エイドリアン「・・・・ゴッドファーザー。もっと難しいのでいいから!」とかねw

雨も降ってないのに傘を持って出かける姿は『キングスマン』を彷彿とさせます。

ジャックに固執するエイドリアンという図は、ゲイ映画にも取れるところだけど
はじめのほうで「そっちじゃない」とコリンに言わせているので
作り手の意図としては違うんでしょうかね。

終盤はサイコVSサイコの構図となっていき、衝撃のラストへ。

あまり高く評価はされてないみたいだけど
エイドリアンのブルジョア気質とか、おそらくは父親に捨てられたであろうトラウマとか、細かいキャラクター付けが行動の鍵となっているところが面白い作品でした。