しまんちゅシネマ

映画ノート

未来世紀ブラジル


1985年(英)監督:テリー・ギリアム 出演:ジョナサン・プライス/ロバート・デ・ニーロ/キャサリン・ヘルモンド/キム・グライスト【ストーリー】コンピュータによる国民管理が徹底した仮想国ブラジル。その情報管理局で、ある役人が叩き落としたハエによって、コンピュータ情報の一部が壊れてしまう。そしてその影響は、善良な靴職人をテロリストと誤認逮捕させる結果を生み出すが……。
 この作品が描き出すのは20世紀の仮想国。
 レトロでありながら、近未来的。便利そうでとっても不便そうな機器に囲まれたグレイな世界。
 誰もが、きっとこの世界観に目を奪われると思います。

 情報管理局に勤めるサムは自分の印字ミスで善良な靴職人をテロリストと間違えて拘束、死に
追いやったことを知らされるが、それは公文書を発行した局の責任だと澄まし顔。
 夫を一瞬の内に連行され戸惑いながらも証明書にサインする靴職人の妻。
 申請書と証明印がなければ、何の訴えも届かない管理局。
 多くの書類に埋もれた役所内。
 管理社会を痛烈に皮肉ったブラックユーモア満載の内容です。
    

 空想と現実が交錯するストーリー展開。ファンタジーから一転悪夢の世界へ。
 現実の世界はあくまで、シニカルでブラック。
 空想の中不気味にうごめくもの達の意味するところは何なのか
 正直1度や2度観たくらいではそれぞれの意味するものは解明できませんでした。
 映像から感じる重圧感、後味の悪さ、軽快さ、刹那的なものへの感傷。
 それらを感じたままに受け止めればいいんじゃないのかな。
 
 デニー扮する修理屋。ユニークです。
 先が読めないストーリーですが、最後には衝撃の結末が・・・。
 

 鬼才といわれる監督テリー・ギリアムの世界を覗いてみてはいかがでしょう。


  ★★★*☆