しまんちゅシネマ

映画ノート

ぼくの国、パパの国


1999年(イギリス)監督: ダミアン・オドネル 出演: オム・プリ / リンダ・バセット / ジョーダン・ルートリッジ / イアン・アスピナル 他 【ストーリー】1971年、マンチェスターの小さな街ソルフォード。パパは誇り高きパキスタン人。彼は英国人女性のママと結ばれ、6人の息子とひとりの娘に恵まれた。彼の願いは7人の子どもたちを立派なイスラム教徒に育てること。しかし子供たちは猛反発。パパの願いは叶うどころかついには家族崩壊の危機に……。
在英パキスタン人のパパがパキスタン人である誇りを大切にし、自らのアイデンティティを守るべく
その子供たちにもイスラム教文化を押し付けようとすることに始まる家族のドタバタ劇を描いたコメディ。


このパパがなにせ、どうしようもない暴君なのです。自分が決めたことがルールの全て。
子供たちは自分の子供なのだからこのルールに従うのはあたりまえ!
ルールを守れないやつには暴力だってふるっちゃう。

だけど、子供たちはイギリス生まれの現代っ子。パパの思い通りになんてなりっこない。
長男は無理やり仕組まれたパキスタン人との結婚式の当日式場から逃げ出してしまう始末。

さて、今度は次男に見合いの話が持ち上がった。もうこうなったらみんな黙っちゃいない。
子供たちはスクラム組んでパパに猛反対・・・

パキスタン人の映画なんて初めてみましたが、これがなかなか面白いんです。
パパは暴君ではあるけれど、自国を愛する気持ちが強く、子供にもそれを継承して欲しいと願う。
悪い人ではないんですね。(多分)

映画の中で家のベッドサイドにバケツが置いてあって、夜間そこで排尿する男たち。
パキスタンってそうなの??と目が点でした。

ママはさすがにイギリス人。楽しいことがあっても悲しいことがあっても
フッとため息をついて「お茶にしますか?」と聞きます。
するとパパも苦虫を噛み潰した顔で「ん・・・。半分もらおう」と言うんです。
お茶って便利ですね。パパだってもしかしたらお茶あんまり好きじゃないのかも知れません。
でも、なぜかいいクッションになるんですね。
映画を通して文化の違いを知るのもまた楽しいものです。

子供たちとの摩擦。これも完全にハッピーエンドではありません。そんな簡単な問題ではないから。
でもママがいい味を出してくれます。
みんな家族ですから、衝突しながらもなんとかやっていくんです。


意外にもおばかな映画です。下ネタありの明るい展開。
テーマが重いわりに、結構楽しく観ることが出来ました。

イギリスアカデミー賞イギリス作品賞(アレキサンダー・コルダ賞)を受賞した作品です。


★★★☆☆