しまんちゅシネマ

映画ノート

ナイロビの蜂


2005年(英)監督: フェルナンド・メイレレス 出演: レイフ・ファインズ / レイチェル・ワイズ / ユベール・クンデ / ダニー・ヒューストン      ビル・ナイ / ピート・ポスルスウェイト  他 【ストーリー】アフリカ・ケニアのナイロビ。ガーデニングが唯一の趣味という英国外務省の一等書記官ジャスティン。事なかれ主義の彼は、アフリカで精力的に救援活動を続ける妻テッサの行動には深く立ち入らず、見ない振りを決め込んでいた。ところがそんなある日、テッサは救援活動中に何者かに殺されてしまう。警察はよくある殺人事件の一つとして処理しようとしていた。しかし、事件に不審なものを感じたジャスティンは、意を決して自ら事件の調査に乗り出すのだったが…。
冒険小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名ベストセラーを、「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督で映画化した感動のミステリー・サスペンス。

原題の「The Constant Gardener」は直訳すれば堅実な園芸家とでもいうのかな。
ガーデニングが趣味の事なかれ主義の主人公ジャスティン(レイフ・ファインズ)のことをさしていることを作品を観て初めて納得。

このジャスティンが妻テレッサ(レイチェル・ワイズ)の死をきっかけに
その死の真相に迫ろうとします。
彼女が追おうとしていたものは何なのか。
その真相に迫る時、アフリカという国の悲しさが浮き彫りになります。

テレッサが殺されてしまうことは最初の時点で描かれているので
時間をさかのぼっての展開では結構ハラハラ
やばいって! もうやめとこうよ~。そんな気持ちで見せられます。

ただ、登場人物が多く途中から少し疲れました。
テレッサの死のあと、真相を追う中で妻の本当の愛に気づくジャスティン。
そこでラブストーリーとしては一気に盛り上がるわけなんですが、これからラストまでが長いかな。

キャッチコピーとしては「地の果てでやっと君に帰る」
最後はまさにこの気持ちだったのでしょう。
結末としては予想外で、衝撃的。だけど虚しさだけではなかった。
じわじわと感動の波が押し寄せる感じかな。

利益を追求する企業。その影で犠牲になる弱い国に生きる人々。
憤りを感じますね。
ラストシーンで純真な笑顔を見せる二人のアフリカの子供たち。
クリクリの瞳の彼らのその無邪気さが余計に悲しく、泣けてきました。
映画の中挿入されるアフリカの音楽にもまた胸を打たれます。



この作品でアカデミー助演女優賞を獲得のレイチェル・ワイズの演技も良かったです。
正義感に燃える芯の強い女性。強いだけでなく内側に大きな愛を秘めた女性を好演。
笑顔も可愛らしく、多彩な感情を見事に表現していたと思います。

社会派サスペンスとしてスケールも大きく見ごたえのある一作。
二人の大きな愛を感じることができれば余計に感動できる作品ではないでしょうか。


★★★★☆