しまんちゅシネマ

映画ノート

八月の鯨


1987年(米) 監督:リンゼイ・アンダーソン 出演:ベティ・デイヴィスリリアン・ギッシュヴィンセント・プライス /アン・サザーン ハリー・ケリー・Jr /メアリー・スティーンバージェン【ストーリー】リビーとセーラの姉妹は、長い人生のほとんどを一緒に過ごしてきた。そんな姉妹は毎年夏の間、アメリカ・メイン州の小さな島にあるセーラの別荘に滞在していた。そこの入江には、8月になると鯨がやって来る。少女の頃、よくその鯨を見に駆けていったものだが、二人ともそれは遠い昔のこととなってしまった……。
■感想
歳をとった人々の織りなす、さりげない日常を描いたドラマです。
自分の思った物と違って手にしてしまった一作でしたが・・・(笑)思いのほか心に残る作品でした。

冒頭の若い日の思い出のシーンを除けば、出演者は全員お年寄り。
しかも往年の大女優共演。といっても、私にはなじみのない名前。
観る人が観れば、とてもなつかしい顔ぶれなのだと思います。

白内障で視力をなくした姉リビーと暮らすセーラ。年老いたリビーは最近死を口にするようになり
セーラは気がかりでたまらない。

年老いて、人の面倒にならなければないことの辛さ、死期が近づいていることの心細さ。
それまでの人生や、周りの人々への感謝の気持ち。
色んなことをしみじみと感じる話でした。

「いつもお美しい」「あらま、ありがと。遺言状を楽しみにしててね」
「最近、関節炎はどう?」「若い医者から、長く生きてることのタタリだと言われたわ」
など、なにげに交わされる年寄りトークにもクスっとできます。

海の見える家、静かに時が流れる穏やかな老後。
この作品、私には結構ツボでしたが、驚くくらい穏やかなので、響かない人には退屈かも。

リビーにイヴの総て(1950)のベティ・デイヴィス
セーラにラ・ボエーム(1926)のリリアン・ギッシュ


★★★*☆