しまんちゅシネマ

映画ノート

メゾン・ド・ヒミコ


2005年(日本) 監督:犬童一心 出演:オダギリジョー柴咲コウ田中泯西島秀俊/歌澤寅右衛門/青山吉良 【ストーリー】ある日、塗装会社で事務員として働く吉田沙織のもとに一人の若い男性が訪ねてくる。岸本春彦と名乗るその男性は、沙織が幼いときに家を出ていった父、照雄の現在の恋人だという。有名なゲイバー“卑弥呼”の二代目を継ぎ成功した照雄は、その後店を畳んでゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を建て、運営していた。春彦は、照雄が癌で死期が近いことを沙織に伝え、ホームを手伝わないかと誘うが・・・。
■感想
今日はめずらしく邦画のレビューです。
殆ど邦画を観ない私。最初、映画のスローテンポと主演以外の役者の演技に違和感を感じてしまいましたが、観ているうちになじんできました。

社会から隔絶された老人ホームに集うのは、やはり社会から取り残されたゲイの人々。
弱者である彼らが、互いに身を寄せ合い生活する「メゾン・ド・ヒミコ
ゲイとして生を全うしようとする彼らの生き様が生々しかったですね。
逃げ、後悔、葛藤、小さな誇り。
そんなものが、老いることへの哀しさとともに描かれていました。

若きゲイの青年を演じるオダジョー
自らの性に正直に、自然体で生きる青年を好演。ちょっとセクシーです。

幼い頃に父に捨てられ、ずっと父を許せずに生きて来た沙織を演じた柴崎コウ
母を不幸にしたことは許せない。なぜ?を聞かなければ気が済まない。
どうしても厳しい言葉で相手を攻めてしまう自分自身も許せない。
そんな沙織にものすごく共感できました。

作品として奇麗に納めようとするものではありません。
自分に正直に生きるしかないよね。そう感じます。

エンドロールでテーマ曲が流れたととたんに、なぜか涙があふれました。


★★★*☆