しまんちゅシネマ

映画ノート

戦場のジャーナリスト


2000年(フランス) 監督:エリ・シュラキ 出演:アンディ・マクダウェルエイドリアン・ブロディイライアス・コティーズブレンダン・グリーソン   デヴィッド・ストラザーン/スコット・アントン【ストーリー】フォトジャーナリストのハリソン。妻と子供のために、危険と背中合わせの仕事から足を洗うことを決心していたが、最後の仕事として、すでに契約を結んでいたユーゴスラビア紛争の地へと赴く。しかし、家で待つ妻サラのもとに届いたのはビル倒壊に伴うハリソン死亡の知らせだった。しかしハリソンが死亡したとされる日の後に無言の電話を受けていたサラは、夫の死を受け入れることが出来ない。サラは単身ユーゴスラビアに飛ぶ。

■感想
ユーゴスラビア紛争のさなか、危険な戦場に足を踏み入れたジャーナリストの妻サラの愛の大きさに感動すると同時に、
虐殺、集団レイプの横行する戦地の悲惨さに大きな衝撃を受けました。


ユーゴスラビア紛争は旧ユーゴスラビア連邦解体の過程で起こった異民族間の対立による内戦ですが、旧ユーゴは7つの国境をもち、5つの異なった民族からなる複雑な国でした。本作はまさしく内戦のさなかの1991年。

夫ハリソン(デヴィッド・ストラザーン)の突然の死亡の知らせを受けたものの、妻サラ(アンディ・マクダウェル)は夫の死を受け入れることが出来ません。生存を信じ、紛争のユーゴスラビアに向かいます。
しかし、いきなり銃撃を受け、同乗のクロアチア青年は虫けらのように殺されます。レイプされかけ路上で倒れ込んでいるところをジャーナリストの一行に発見され、助けられたサラ。
共にハリソンが収容されている可能性のある病院を目指します。
ここでの映像がものすごくリアルでした。無惨に殺された死体の山。。。

ただし、本作は内戦自体に焦点をあてたものではありません。
これ、実際に48歳で亡くなったジャーナリストの実話を元にしたお話のようです。

主演のアンディ・アンディ・マクダウェル。夫のデヴィッド・ストラザーンを心から愛する妻の姿が美しい!
夫の死を知らされたときの、その痛々しさに胸が締め付けられます。
戦地で生存を信じ続ける強さにも感動し、何度も泣かされてしまいました。


サラを助けるジャーナリストにエイドリアン・ブロディ
いつもの困り顔ではなく、芯の通った一匹狼のようなエイドリアンの演技を堪能できます。
危険にさらされようとも、実際に起こっている悲惨な出来事を世界に発信することの使命感に燃える姿、
実はサラに思いを寄せていたであろう彼がサラを支える姿も素敵でした。


爆撃を受け逃げ惑う人々が「写真を撮ってくれ! この姿を世界中の人に知らせてくれ!」と叫ぶ姿も心に残ります。
彼らの気持ちに応えることは生半可なことじゃないですよね。
長期にわたる滞在でだんだんと心の均衡を失ったいく姿も悲惨です。


サラはハリソンと再会することが出来るのでしょうか。


本作は未劇場未公開らしいのですが、映像の迫力も役者の演技もよく見応えたっぷりの感動作でした。

「戦場のジャーナリスト」という邦題は、「戦場のピアニスト」の二番煎じな気がしますね。^^>"
原題は「Harrison's flower」。ハリソンの留守中、息子が父に代わり大切にしている花の世話をする。
そんな逸話からついた素敵なタイトルです。




★★★*☆