しまんちゅシネマ

映画ノート

ヒーロー 靴をなくした天使


1992年(米)監督:スティーヴン・フリアーズ出演:ダスティン・ホフマンジーナ・デイヴィスアンディ・ガルシアジョーン・キューザック/ケヴィン・J・オコ    ナー/スティーヴン・トボロウスキー/スージー・キューザック/トム・アーノルド/チェヴィー・チェイス【ストーリー】コソ泥で保釈期間の延長を言い渡されたバーニー。息子を映画に連れて行く約束をしたその日、雨の中車がエンスト。目の前に飛行機が墜落して来た。燃えさかる機内に入り、逃げ遅れた乗客を救出。名前も告げず、その場を去ったバーニー。現場には雨の中なくした靴を片方置き去りに擦ることになる。救出された乗客に敏腕レポーターゲイルがいたためこの謎のヒーローは誰か?がメディアを賑わすこととなる。

何気にホフマン特集。 これは最高! ダスティン・ホフマン!!


■感想
本作は「クィーン」のスティーヴン・フリアーズ監督による、ハートフル・コメディです。

飛行機事故で救出劇を演じ、名前も告げずにその場を去ったバーニー(ダスティン・ホフマン)。その後テレビ局は片方の靴の持ち主である「謎のヒーロー」に100万ドルを提供すると発表。
バーニーが窃盗で監獄送りとなっている間に、現れたのがホームレスのジョン・バーバー(アンディ・ガルシア)。
彼は飛行機事故のあと、バーニーから事故の話しを聞き、片方の靴を譲り受けていたんです。
それが現場に落ちていたもう一方の靴と一致したことから、彼ヒーローと認定され、その言動から瞬く間に国民の心をつかんでいくのですが。。

果たして、真実は明らかになるのでしょうか。

何故か大好きで、何度も観てしまう映画の一つです。

パピヨン」のダスティン・ホフマンも良かったけれど、あのちょっと作りすぎた演技よりも、自然な演技の中に彼の良さがあると思うのです。

本作のダスティン・ホフマン。幼い頃には英雄に憧れ多くの人を助けたいと思うような子だったのに、いつの間にか生活に追われ、ヒロイズムなんて誰よりも似合わないケチなコソドロになり果ててました。外見やこれまでの行いから何を言っても誰からも信用されず、徹底的に世間から排除される様子がなんともシニカルで笑えます。

一方、偽物ヒーローとして、メディアに登場したアンディ・ガルシア。最初はきったないホームレス姿でしたが、キレイにしたらさすがに男前なわけよ。だってアンディ・ガルシアですよ。(笑)
そもそも兼ね備えたヒロイズムとそのキュートな笑顔(?)に国民は熱狂していき、レポーターのゲイルとも恋が芽生えちゃう。
でもだんだん彼の中で偽物としての罪悪感が高まって来る訳ですよね~。

そうそう、ゲイルを演じたジーナ・デイヴィスがかなりいいです!
最初は非情かつ野次馬的な実況レポートもものともしない凄腕レポーター。事故の映像に狂喜するオタクなカメラマンとのコンビはマスコミの姿を見事に皮肉るものでしたが、その彼女が、人を愛し、真実を求める真のジャーナリストへと変わっていくのも見所の一つ。


一番好きなのはダスティン・ホフマンジーナ・デイヴィスの最後のやりとり。
本当はあなたがヒーロー?と「Off the record」で交わされる会話。
言葉は少ないのですが、二人の表情が素晴く、ジーンとしてしまいます。
このシーンだけでも何度も観たくなってしまうほどいいですよ。

不器用ながらも、彼なりのやり方で(ちょっと間違えていることが多いものの)、精一杯息子に相対するダスティン・ホフマンの可笑しく優しい演技もいいなぁ。

誰の心にもヒーローはいる。
シニカルな笑いと、感動と、最後には温かい気持ちを与えてくれる作品。ちょっといいですよ。


★★★★☆