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映画ノート

エディット・ピアフ~愛の讃歌


2007年(フランス/イギリス/チェコ)監督・脚本:オリヴィエ・ダアン出演:マリオン・コティヤール/シルヴィー・テステュー/パスカル・グレゴリーエマニュエル・セニエジャン=ポール・ルーヴ/ジェラール・ドパルデュー/クロチルド・クロ/ジャン=ピエール・マルタンス【ストーリー】1915年、フランス・パリの貧しい家庭に生まれたエディット・ジョヴァンナ・ガション。母は路上で歌を歌い、日銭を稼ぐ毎日だった。その後、祖母が経営する娼館に預けられた彼女は、娼婦ティティーヌたちに可愛がられ束の間の安らぎを得る。やがて兵役から戻った父に引き取られると、路上で大道芸をする父の手伝いをする中で、自らも人前で歌うことを覚えるのだった。そして1935年、路上で歌を歌い日銭を稼いでいた彼女は、パリ市内の名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレにスカウトされ大きな転機を迎えた。ルプレによってピアフと名付けられた彼女は、歌手としてデビューするや、瞬く間にスターダムへと駆け上っていくのだったが…。
■感想
『愛の賛歌』で知られる偉大なシャンソン歌手エディット・ピアフの波瀾万丈の生涯を綴る感動の伝記ドラマです。

偉大な人の伝記というと、生まれてから成功するまでを描いたものが多いようにも思うのですが、
本作では、その死が近いことを感じさせる、晩年のピアフの姿から始まります。

47歳で生涯を終えたピアフですが、背中を丸め、両手を震わせ…晩年の姿はまるで70歳の老婆です。

こんな姿ではなく、もっと偉大な業績を描いて欲しかったと思うファンもいることでしょう。
でも、監督が描きたかったのは、ピアフの全て。
悲劇とともに歩いて来たピアフだったけれども、歌を通して世界中の人に愛され、感動を与えることができた。
その人生の全てを伝えたかったのだそうです。


マリオン・コティヤールは噂通りのすばらしいパフォーマンスでした。
ピアフを演じるにあたっては、その生涯を綴った本を読み、テレビ出演のビデオなどを見て研究したのだそうです。
マネではなく、ピアフの気持ちになってピアフを表現したかったのだとか。

歌を歌う姿も印象的ですが、生涯で最も愛した恋人の訃報を知るシーンは心に残りました。
半狂乱で廊下を走り、ドアを開けたその先がステージという斬新な演出。
哀しみを乗り越えて歌うピアフの姿に胸が痛みますが、そこには歌を待っている観客がいる。
歌うことが逆にピアフを支えていたんでしょうね。


すでにいくつかの映画祭で評価されているそのパフォーマンス。オスカーにどう絡んでくるかも気になるところ。


物語は時間軸が交差する作りになっているため、ん?と思うところもあるのですが、
マリオンの見事な演技によって、どの時代のピアフなのかは、混乱せずに観ることが出来ました。
細切れ過ぎる気もしましたが、過去と現在が上手くリンクして原因が明かにされたり、
気持ちの繋がりを感じたりと、効果的な部分もあったんじゃないでしょうか。


壮絶な人生、素晴らしい歌声。見応えのある作品でした。



★★★★☆  マリオンの演技に星追加です。