しまんちゅシネマ

映画ノート

ガーゴイル


2002年(フランス)監督:クレール・ドニ出演:ヴィンセント・ギャロ/トリシア・ヴェッセイ/ベアトリス・ダル/アレックス・デスカス/フロランス・ロワレ=カイユ【ストーリー】アメリカ人の新婚夫婦シェーンとジューンは、ハネムーンでパリを訪れた。幸せそうに見える2人だが、なぜかシェーンは愛しているはずのジューンを抱こうとはしない。実はシェーンは、愛の行為の最中に相手を死に至らしめてしまうという、狂気の衝動を起こす性質を持っていた。その病の鍵を握る元同僚の医師レオと、レオの妻でシェーンと同じ病で苦しむコレを探すこと――それがシェーンがパリに来た真の目的だった。その頃、一方のコレはシェーンと同じ病でも末期的な症状に陥っており、郊外の屋敷でレオに監禁されながら暮らしていた。
■感想

愛したいけど、、、愛せない。


タイトルのガーゴイルというのは背中に翼をもったグロテスクな姿をした怪物です。
西洋建築の屋根に設置され雨樋の排水の役割を担うことが多いらしいのですが、そもそもは豊穣と水を司る神が、このような恐ろしい姿に変えられたのだとか。

本作に登場するのは、ガーゴイルのように、激しい欲情を抑えられず苦悩する二組の男女。

愛する相手を、愛の行為の最中に死に至らせてしまうとしたら…。

幸せそうな新婚夫婦シェーン(ヴィンセント・ギャロ)とジューン。
しかしシェーンは、妻を傷つけたくないゆえに、欲情のはけ口を、他のものに求めてしまいます。
久々に見たギャロは、美しい新妻ジューンに欲情しながらも、抱くことが出来ない哀しい役所。



一方のカップルはレオ&コレ。
末期症状にあるコレを守るためには家に閉じ込めるしかない。この愛の形も哀しいものでした。

淡々と進むストーリーながら、欲情が弾けるシーンは恐ろしくグロいです。
冒頭のおびただしい血をのシーンだけでも、受け付けない人は多いでしょうね。
そういう私も夜に観かけて、一旦中断。明るくなって観直しましたよ。




愛するものを愛せない切なさ、愛してもらえない女の哀しさを静かな音楽が引き立てます。

猟奇的な愛の描写はあるものの、エロティックで、ある種の美しさをたたえた作品だと思います。

ただし、好き嫌いはあるでしょうね~。
私ももう観れないかなぁ。


★★★*☆