しまんちゅシネマ

映画ノート

イン・ザ・ベッドルーム


オスカー特集7日目。助演男優賞候補トム・ウィルキンソン


フィクサー」で助演男優賞候補となっているトム・ウィルキンソン
彼は「イン・ザ・ベッドルーム」でもオスカーの主演男優賞にノミネートされていました。



2001年(米)監督:トッド・フィールド出演:トム・ウィルキンソンシシー・スペイセクニック・スタールマリサ・トメイ/ウィリアム・メイポーザーウィリアム・ワイズ/セリア・ウェストン/カレン・アレン【ストーリー】ニューイングランドメイン州の小さな町カムデンで開業医をしているマット・ファウラーと妻ルースのもとに夏休みを利用して一人息子フランクが帰ってくる。彼はバイトに励む傍ら、近所に住む年上の女性ナタリーと恋に落ちる。彼女は二児の母で暴力夫のリチャードとは現在別居中。しかし、リチャードは離婚に応じず、ナタリーの家にしばしばやって来ては暴力を振るっていた。ある日、フランクはナタリーの家で興奮したリチャードと遭遇、言い争いの末リチャードに拳銃で撃たれ命を落としてしまう。突然の悲劇に見舞われたマットとルースはどう対処すべきかわからず途方に暮れる。
■感想
リイトル・チルドレン」のトッド・フィールド監督が初めてメガホンをとった作品です。

一人息子を育て上げ、夫婦で穏やかな暮らしを営む中年夫婦のマット(トム・ウィルキンソン)と妻ルース(シシー・スペイセク)。夏休みに帰省した息子フランクが、子持ちで夫とは別居中のナタリー(マリサ・トメイ)との関係も、大らかに受け入れていた矢先のこと、その事件は起こりました。


ナタリーの暴力夫により、フランクは撃たれ、命を落としてしまうのです。

愛する息子を突然奪われたた中年夫婦を襲う喪失感、深い哀しみ、そして怒り。。
やがては互いの人間性にまで言及し、傷つけ合い、壊れていく夫婦の様子は、観ていてやるせない気持ちになります。



愛する人を失ったとき、人間は目一杯哀しみ、全てを吐き出さなければいけないのですが、
この夫婦はその時期を逸してしまった。

夫マットは哀しみを飲み込み、水面に漂う水草のよう。
妻のルースも押さえても押さえきれない怒りの感情をひたすら押さえて、押さえて。‥でもやがて限界がやってくる。。

リトル・チルドレン」で、独特のユーモアを交えながらも、シニカルに人間の哀れを描ききったトッド・フィールド監督は、本作でも人間の深い部分に潜む感情を引き出すことに成功しています。

この複雑な感情を表現しきった二人のベテラン俳優も素晴らしいですね。

特に妻ルースを演じたシシー・スペイセクのやり場のない焦燥感と深い哀しみ、冷徹さを垣間見せる演技は凄いです。
彼女はゴールデン・グローブの主演女優賞も獲得してます。

夫婦の選択は痛いものでしたが、見応えのある人間ドラマに仕上がっています。



★★★★☆