しまんちゅシネマ

映画ノート

モンスーン・ウェディング


2001年(インド/アメリカ/フランス/イタリア)監督:ミーラー・ナーイル出演:ナセールディン・シャー/リレット・デュベイ/ヴァソンダラ・ダス/イシヤーン・ナイールシェファリ・シェティ/ヴイジエー・ラーズ/ティロタマ・ショーム【ストーリー】インド・デリー。テレビ局に勤める女性アディティ・ベルマは父の決めた縁談をここへきて急に承諾した。相手はアメリカで仕事をするエンジニアのヘマント・ライ。父のラリットは娘の結婚式を伝統に則り、モンスーンの時期に親戚縁者を集めて盛大に執り行なおうと準備に大忙し。結婚式を数日後に控え、アディティは仕事場に別れの挨拶へと向かう。実は、彼女は担当する番組のスタッフと不倫関係にあったのだが、結婚直前のいまでも心の整理がつかないのだ。そんな中、世界中からベルマ家の親族たちが続々とやって来る。そしていつしか、そこかしこで感情と感情が交錯していく……。
■感想
今年はインドを知る年なのかも。
「その名にちなんで」「ダージリン急行」と、インドに興味津々の今日この頃。

本作は伝統に則った盛大な結婚式を舞台に、そこに集う人たちの心模様を描いた群像劇です。
監督は「その名にちなんで」のミーラー・ナーイル

まず驚くのはインドの結婚式の華やかさです。ウエディングプランナーを雇い、庭を飾り、世界中の親戚を呼び集め‥、
女の子を嫁に出すことは名古屋人以上にお金のかかることらしい。


ここまでするのは、どうやら家同士の繋がりを大事にするインドの考え方にのっとっているようですね。
互いの家族の威厳を示すためにも、人に胸をはれる結婚式が必要なのだとか。
相手をあまり知らないまま、お見合いで結婚する場合も多いようですが、それでも離婚率が低いのは
家同士の繋がりの深さと同時に、家族に深い愛情を傾けるインドならではなのかも知れません。

とはいえ、インドにもやはり不倫というものもあるようで、、
結婚を前にしたアディティは実は職場の男性と不倫の仲でした。

不倫相手といつか結婚出来るのではないか、、そんな希望も虚しく、
見合い相手と結婚することで不倫関係に踏ん切りをつけようとするアディティ。

花嫁と花婿が葛藤を乗り越え、結婚に向け心を一つにしていく様子が描かれる一方で
花嫁の父親、結婚式に集まった人々の問題や思いが丁寧に描かれ、心を動かされます。

特に父親がいいのですよ。彼がどれだけ家族を愛し、親族を大事に思っているのかを知るシーンでは大泣きしちゃいます。


ド派手な結婚式の裏で、ウエディングプランナーと住み込みのお手伝いさん(?)の女の子が地味ながら瑞々しい結婚式を挙げるシーンもとっても印象に残りました。
この女の子が主人公よりずっと可愛い!
結婚式の会場を華やかに飾るマリーゴールドが、地味婚の中で違った味わいで演出されていて、これがまた素敵。
しかもマリーゴールドってエディブルだったのね。



インドらしい歌や踊りといったエンターテイメントな部分も勿論楽しめます。
これは純粋にいい映画でした。

ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しています。



★★★★☆