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映画ノート

君のためなら千回でも


2007年(米)監督:マーク・フォースター原作:カーレド・ホッセイニ君のためなら千回でも』(早川書房刊)出演:ハリド・アブダラ/ホマユン・エルシャディ/ゼキリア・エブラヒミ/アフマド・ハーン・マフムードザダショーン・トーブ/アトッサ・レオーニ/アリ・ダネシュ・バクティアリ【ストーリー】ソ連侵攻前のまだ平和だったアフガニスタン。裕福な家庭の少年アミールと、彼の家に仕える召使いの息子ハッサンは、境遇の違いを越えて強い絆で結ばれた親友同士だった。ところが12歳の冬の日、恒例のケンカ凧大会の最中にある事件が起きる。以来、アミールは少年ゆえの潔癖さと後ろめたさからハッサンを遠ざけてしまう。そこへソ連軍が侵攻、アミールは後悔と罪の意識を抱えたままアメリカへ亡命、再びハッサンと会うことなく月日は流れてしまう。20年後、苦労の末にアメリカで念願の作家デビューを果たしたアミールのもとに、アフガニスタンの恩人から1本の電話が入る。“まだやり直す道はある”との言葉に、アミールは意を決して危険なタリバン独裁政権下の故郷へと向かうのだったが…。
■感想
アフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニ原作ベストセラー『君のためなら千回でも』の映画化。
少年時代に冒した罪の意識に向き合う主人公の姿を描いたヒューマンドラマです。

アフガニスタンの歴史について、そこに暮らす人々の思いについてあらためて考えさせられました。

主人公アミールが少年時代を過ごした70年代、凧揚げに興じる子供たちの姿が元気に映し出され、街は活気に溢れています。
裕福な家庭に育ったアミールと使用人の息子ハッサンとは親友同士。
文字を読めないハッサンに自分で作った物語を読み聞かせ、仲良く一緒に遊ぶ関係にあったのですが、12歳の冬、ある事件をきっかけに二人の関係は壊れてしまいます。後ろめたさを残したまま、アフがニスタンはソ連侵攻など、怒濤の時代を迎えることになり、アミール親子は危険を回避するためアメリカに亡命。

20年が経ち、大人になったアミールは『やり直す道はある』との恩人の言葉に引き寄せられるようにタリバン政権下の故郷へ向かうのです。アミールがそこで知ることになる真実とは? 
危険な故郷で、アミールは『やり直す道』を見つけることが出来るのでしょうか、というお話です。

私たちはまず、アミールの目を通して、アフガニスタンの変わり果てた姿を見ることになります。
タリバンにより監視された街はがれきに被われ、かつての活気を失い、片足を無くした人々が行き交います。
生れ故郷がこんな風に変わってしまったらどんなに辛いでしょう。


そこで知ることになる事実もとても辛いものでした。
それでも「過去を償う」ためにアミールはある行動を起こします。


心に残ったのは少年ハッサンの大きな友情です。君のためなら‥そんな風に大きな愛を示せる少年の姿に感動。


最後にアミールがハッサンと同じようにこの台詞を口にする瞬間、罪の意識は消えることが無くても、
罪を悔い、友情にこたえることは出来るのだと知り、大きな感動に包まれました。


大空を自由に飛ぶ凧は平和の象徴でもある気がします。
アフガニスタンの青空に、色とりどりの凧が再び飛び交う日が一日も早く来て欲しい。
そう思わずにはいられません。


原作者はアフガニスタン出身の方ですが、映画の製作はアメリカです。
一つ気になったのはこの作品、アフガニスタンで暮らす人にはどううつるのかということ‥。
故郷を見捨て、アメリカに暮らすことが幸せなことなのか。。そこだけちょっと引っかかったのですが、
友情、罪の意識、家族愛という視点で観れば、まちがいなく感動の作品です。

There is always a way to be good again.
For you,a thousand times over.
なんという素敵な言葉でしょう。


★★★★☆