しまんちゅシネマ

映画ノート

JUNO/ジュノ


2007年(米)監督:ジェイソン・ライトマン脚本:ディアブロ・コディ出演:エレン・ペイジマイケル・セラジェニファー・ガーナージェイソン・ベイトマンオリヴィア・サールビー/J・K・シモンズ/アリソン・ジャネイレイン・ウィルソン【ストーリー】16歳の女子高生のジュノ(エレン・ペイジ)は、いつもの退屈な午後、気取らないところが魅力的なクラスメイト・ポーリーと関係を持ち、予定外の妊娠をしてしまう。生まれてくる赤ちゃんに完璧な両親を見つけようと思い立ったジュノは、親友のリーとともに、養子を望む裕福な夫婦、マークとヴァネッサを見つける。9か月間を通して、体形の変化とともに、様々な感情に揺さぶられながら、大人になるための問題に真正面からぶつかっていくジュノ。彼女が最後に下す選択とは…? 
■感想

16歳の予期せぬ妊娠! ジュノの出した結論とは!!


インディーズ映画ながら昨年全米で大旋風を巻き起こし、アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞の主要4部門にノミネート。わずか2ヶ月で1億ドル以上の大ヒットとなった作品です。

この作品の魅力はなんといってもエレン・ペイジの演じるジュノの等身大の生き方ですね。

16歳。興味本位で初めてセックスしてみたら妊娠しちゃった。。
あなたならどうしますか? 大半の人は中絶を考えるでしょう。世間体が悪いし、第一に育てる基盤がない。
ジュノも当然の事として中絶を考え、産婦人科を訪れるのですが、中絶反対を訴える同級生の「赤ちゃんにはもう爪も生えてるよ」の一言で、産む事を決心!

それでも自分の将来を放棄し、全てを犠牲にしてというワケではない。
自分にはまだ母親になる準備なんてないと考え、子供を必要としている大人を探そうとするところが現代っ子ですね。

物語はお腹に命を宿したジュノの心模様と、彼女を取り囲む人々との交流を丁寧に丁寧に描いていきます。

まずジュノのキャラがいいです。
若者言葉満載で、ちと理解出来ないものも多い(笑)けれど、いつでも等身大で飾り気がなく、子供を育てるのは無理と現実的に考えるのだけど、それでも命に誠実に向き合うジュノは観てるうちにどんどん好きになっちゃいますね。

そんなジュノを取り巻く家族もまた素敵です。


この物語のもう一方の核は、里子としてジュノの子供を受け入れることになる子供に恵まれない夫婦のお話。
妻ヴァネッサにジェニファー・ガーナー。個人的にはこのヴァネッサの心情が痛いほど解って泣けちゃったな。
夫マークにジェイソン・ベイトマン。里子を貰い受ける事が決まった瞬間から母性を感じ始める妻に対し、父親になることを実感出来ず、だんだんと妻との気持ちに開きが出来てしまう‥。ちょっと大人になりきれない夫なんですね。そんな二人の行く末も見物です。

赤ちゃんの父親、ボーイフレンド君(マイケル・セラ)と来たら棒のように細い足に金色のパンツ姿が印象的で、これまたつかみ所がない若者なんだけど、彼もまさしく等身大。

クスッと笑えるユーモアも満載。
中流れる素朴な音楽が心地よく耳に残り、ジュノの成長、命の尊さ、、色んな意味で温かさとほろ苦さを感じる素敵な作品でした。大人気だったのも納得です。
カルトムービーを観るシーンがあったり色んな映画のタイトルが出て来たり、映画ファンにはちょっとした楽しみもありますよ。


アカデミーオリジナル脚本賞受賞。

日本公開は6月です。


★★★★*