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映画ノート

楽園をください


1999年(米)監督:アン・リー原作:ダニエル・ウッドレル出演:トビー・マグワイア/スキート・ウールリッチ/ジョナサン・リス=マイヤーズ/ジム・カヴィーゼルジェフリー・ライト/ジュエル/トム・ウィルキンソン/ジョナサン・ブランディス【ストーリー】1861年ミズーリ州。ドイツ系移民のジェイクと農園主の息子ジャックは親友同士。しかし、青春を謳歌するはずの二人の運命は南北戦争の開始とともに狂い始める。北軍に父を殺されたジャックと、本来は北軍に入るべきドイツ系のジェイクはともにブラック・ジョン率いる南軍派のゲリラ部隊“ブッシュワッカー”に加入するが……。
■感想
アン・リー監督が、アメリ南北戦争時代の若者たちの姿を描いた人間ドラマです。

南北戦争とは奴隷制の反対と保護貿易を唱える北軍奴隷制の維持を求め、自由貿易に賛成する南軍との争いですね。

物語は“ブッシュワッカー”に加わり北軍と戦うジェイク(トビー・マグワイア)とジャック(スキート・ウールリッチ)の友情物語を描き、後半は南軍派に属しながらも、ドイツ人と黒人ということでともに「よそもの」扱いされるジェイクとホルト(ジェフリー・ライト)の目を通し、戦争を描き出します。

主演はジェイクを演じたトビーですが、黒人ホルトを演じたジェフリー・ライトがすごく良かった~。

黒人でありながら、南軍派に属し、自分を買い取ってくれた友に忠誠を尽くそうとするホルトを通し、奴隷として扱われた当時の黒人の悲しみを見ると同時に、自由への希望と人としての尊厳を考えさせられます。

南北戦争アメリカで唯一の内戦でしたが、罪のない人を殺し(女は殺さないというルールがあったようですが)家を焼き払う様子はなんとも非情。
しかも次第に闘いの意味も見出せなくなってしまう彼らを見ていると、戦争の無意味さを感じずにはいられません。

登場人物の中で異彩を放ったのは、美しく妖しいピットを演じたジョナサン・リス=マイヤーズ
雄叫びをあげながら銃をぶっ放す彼のセクシーなこと。ついには執拗に味方であるはずのジェイクやホルトの命まで狙おうとするピットは、戦争に翻弄され心を失った若者の象徴だったのかも。。



主な登場人物の中、紅一点で華を添えてくれるのがスー・リー役のジュエル
戦争のなか、オアシスのような存在ですが、ジェイク、ジャック二人のロマンスのお相手となります。
アラスカ出身のシンガーだそうで、これが女優デビューだそうです。エンディングに流れる歌も歌っていますよ。



厳しい戦争を描いた物語でしたが、若者の成長物語でもあります。
最後には一筋の希望と温かさを感じ、胸がいっぱいになりました。

アン・リー作品、今後もチェックです。



★★★★☆