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映画ノート

【映画】ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気

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 ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気(2015 アメリ
原題:Freeheld
監督:ピーター・ソレット
脚本:ロン・ナイスワーナー
出演:ジュリアン・ムーアエレン・ペイジマイケル・シャノンスティーヴ・カレル

【あらすじ】
20年以上にわたり刑事として働くローレルは、ステイシーと出会い恋に落ちる。やがて一緒に暮らし始める二人だったがローレルが病に冒されていることが発覚。ローレルは自分の死後、ステイシーが遺族年金を受け取れるよう郡に申請するが・・


第80回アカデミー賞で短編ドキュメンタリー映画賞を受賞したドキュメンタリーを映画化した作品です。
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同姓婚カップル、ローレルとステイシーにジュリアン・ムーアエレン・ペイジ
愛し合う二人は出会いから間もなくパートナー登録し、晴れて公的なカップルになります。
しかし家も買い幸せな毎日を送る中、ローレルが癌に罹患。余命いくばくもないことを知り、ローレルは遺族年金をトレイシーが受け取ることを希望するのですが、郡は無碍もなく却下。
それでもローレルの思いは強く、同僚デーン(マイケル・シャノン)の助言もあって郡の委員会にかけあうことに。
委員会は同姓婚カップルの権利に対し、どんな判断を下すのかという話です。
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全米で同姓婚が認められることになったのは昨年のこと。それまでは認める、認めないは州によって違っていたんですね。舞台となるニュージャージー州が同姓婚を認めたのは2013年。ですから、当時のローレルとステイシーの関係はあくまでドメスティック・パートナー・システムで許可されたものにすぎず結婚とは違うもの。委員会がローレルの申し出を却下するのも、不思議ではないのです。
そんなこともあって個人的には同姓婚には異論はないものの、ローレルのケースで「平等」を求めるのには無理があると思ったんですが、支援グループが参加し自体が動き始めるのを興味津々で観ました。
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後半は法廷もののような展開になるんですが、活動家スティーヴンを演じるスティーヴ・カレルがゲイ・トークで笑わせてくれるし、朴訥としていながらも誠実にローレルを助ける刑事の相棒マイケル・シャノンとのやり取りも楽しい。友情だったり、同情だったり、あるいは信念や勇気だったりと、支援者の思惑もベクトルも違うのだけど、それがかえってリアルで、映画の楽しみどころにもなっていたのはサプライズ。

ローレルとステイシーの力は微力でも、同じ考えのものが集まれば声は大きくなる。
結局委員会は痛いところを握られるということもあり、ごり押し的ではあるものの最後は二人の愛と支援の力が大きなうねりを生み出す様には感動しました。

ジュリアン・ムーアは刑事でレズビアンで癌末期という難しい役でしたが、終盤は観ているこちらが苦しくなるほどの喘鳴を伴う息遣いを見せるなど細かい演技も秀逸。流石ですね。
製作にも携わるエレン・ペイジナチュラルでよかった。プライベートでもゲイをオープンにするエレン、脚本のロン・ナイスワーナー(『フィラデルフィア』)ともに、思い入れの強さも感じるところでした。



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