しまんちゅシネマ

映画ノート

マイレージ、マイライフ


2009年(米)監督:ジェーソン・ライトマン出演:ジョージ・クルーニーヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリックジェイソン・ベイトマン   ダニー・マクブライド/メラニー・リンスキー/エイミー・モートンサム・エリオット/J・K・シモンズ

アカデミー特集 作品賞・監督賞他 ノミネート 『マイレージ、マイライフ

■感想
さて、アカデミー特集最後日
昨年は『ジュノ』でアカデミー賞にセンセーションを巻き起こしたジェーソン・ライトマン監督の作品
アカデミー前哨戦の前半をリードしました。
受賞こそならなかったもののジョージ・クルーニー主演男優賞ノミネート
ヴェラ・ファーミガアナ・ケンドリックが揃って助演女優賞にノミネートされ、全5部門にノミネートされたのは快挙。
制作にも加わってる監督のお父さんは『ゴーストバスターズ』の監督だったんですね。

***

ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は、年間322日も出張で飛び回り
企業のリストラ対象者に解雇を通告するプロフェッショナル、“リストラ宣告人”

マレーシア滞在中に楽しみに観ていた日本のドラマで坂口憲二くんが演じていたのと同じ職種ですね。

人に「クビ」を宣言するなんて簡単なことじゃない。
だって、相手の生活、人生、全てを覆す宣言になるのだから。

ルーニー演じるライアンは「バックパックに入りきれないものは抱えない」がモットー
その結果彼は結婚を考える恋人も持たず、家族とも深く関わらず、しがらみのない人生を良しとしてきた男なのね
彼が人生の支えとしているのが、旅によってたまっていくマイレージ

10万マイルためることを目標にするライアンでしたが、その達成を阻む者が出現
なんと新入社員のナタリーが、航空費節減のため、リストラインタビューをネット上ですませてしまおうという
合理案を提案しちゃったのです。

果たしてライアンのマイレージの行方は?(笑)

でもこの映画マイレージをためることにしか生き甲斐を見いだせない男が
二人の女性との出会いによって、人生観を変えていくというお話なんです。



その二人の女性の一人が勿論新入社員ナタリーでアナ・ケンドリックが演じます。

もう一人がヴェラ・ファーミガ演じるアレックス
ライアン同様全米を忙しく移動するビジネスウーマン。
価値観が似ていることからライアンと意気投合。大人の関係に。
ヴェラはドライな大人を演じ切りましたね~。
ちなみに驚くほど素敵なヒップ!と思ったけどあれはボディダブルだったみたい(笑)
出産して間がない頃の出演で、お乳が出るのを恐れての対策だったとかw

頭でっかちだけど経験がないナタリーが「リストラ劇」を通し、成長する様子や
しがらみを嫌っていた主人公が、家族や人との繋がりを求めるようになる流れがとても自然
クールで面倒見が良く純情なクルーニーは反則ですな。かっこ良すぎます。


「ジュノ』ではジュノのパパを演じたJ・K・シモンズはリストラされる一人を演じますが、流石の存在感。

旅のノウハウなどを軽快に絡めながら、人との関係が希薄になるつつある現代を憂い、
優しい視点で「つながりの大切さ」を描いた作品でした。

オスカーノミネートの主演陣の演技もこんなにいいのは脚本の良さもあるのでしょうね。
ちょっとほろ苦いラストも良し。
音楽も心地よく、すっと心に入ってくる素敵な作品でした。


日本公開は3/20~

★★★★*