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映画ノート

月に囚われた男


2009年(イギリス)監督:ダンカン・ジョーンズ出演:サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラーリオ/ベネディクト・ウォンマット・ベリー/マルコム・スチュワート声の出演:ケヴィン・スペイシー【ストーリー】近近未来。地球に必要なエネルギー源を採掘するために月にたった一人で滞在させられた男、サム(サム・ロックウェル)。契約期間は3年。地球と直接通信もできず、話し相手は1台の人口知能をもったコンピュータだけ…という孤独な男を支えたのは、愛する妻と子供への思いだった。そして、遂に任務終了まで2週間をきり、地球へ帰る日が目前に迫ったとき、サムの周りで奇怪な出来事が起こり始める――。
■感想
契約期間:3年
赴任地:月
労働人随:一人

たけし軍団のダンカン・・・もとい、イギリスの新鋭ダンカン・ジョーンズの監督デビュー作である本作は
月を舞台にしたSFであり、ミステリーです。

登場人物は、月でエネルギー源の採掘に従事するサムを演じるサム・ロックウェルのほぼ独り舞台。
話し相手は人工知能をもったロボットのみという孤独な仕事故、契約期間は3年。
期間終了を2週間に控えた頃、サムの身の回りでおかしなことが起こり始めます。

体調の不調、幻覚。。そしてついにサムが目にするものは!

地球のエネルギー源の70%を月に頼る日がくるというのもセンセーショナルな話です。
太陽熱の恩恵を受けるのとは訳が違います。
月の採掘、、そんなことしたらそのうちに地球からは毎日三日月しか拝めなくなります(笑)

この映画、科学の発達により、どこまでもどん欲になってしまった人間の姿を
ミステリー要素満載で描いていて、とにかく面白い!

ただしネタバレせずに観たほうが面白いよね~と思うから何も書けない(汗)

月でのサムの任務をサポートする人工知能を持ったロボットの声を担当するのはケヴィン・スペイシー
スクリーンにスマイリーフェイスのアイコンの表情を表示させているのも面白いところで
サムの見ていないところでその表情から笑顔が消えたりするので、こちらは緊張感を持って見てしまいます。
この声音とゆったりした喋り方はキューブリックの『2001年宇宙の旅』のハルに似ていて
そのブラックな存在感が際立ちました。

あと2週間で孤独な任務を終え、愛する家族と再会できるという時に、
主人公が知ることになる事実はまさに驚愕で
サム・ロックウェルは悲しみと、自暴自棄と、怒りと、諦め、そして新たな冒険と
サムの様々な感情を見事に演じてました。

来るべき未来の人間のエゴに悲しみを覚えるところだけど
同じようなエゴを人間はすでに駆使してるのかもしれない。
色々に楽しめる作品でした。

ちなみに監督はデヴィッド・ボウイの息子さん。
ストーリーも監督のオリジナルだそうで、その独創性が光ります。
低予算を思わせない映像も大したもの。
昨年の英国インディペンデント賞では最優秀に選ばれるなど、各地で絶賛されてますね。
これからの活躍が楽しみ! 

日本公開は4月10日~

★★★★*