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映画ノート

【映画】ジュリア

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ジュリア(1977
アメリ
原題:Julia
監督:フレッド・ジンネマン
原作:リリアン・ヘルマン
脚本:アルヴィン・サージェント 
出演: ジェーン・フォンダ / ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ ジェイソン・ロバーズ  / マクシミリアン・シェル/  ハル・ホルブルック/  メリル・ストリープ/ リサ・ペリカン/ スーザン・ジョーンズ

【あらすじ
処女作を執筆中のリリアン・ヘルマンは気分転換にパリに行き、ウィーンに暮らす友人ジュリアを訪ねるが……。


【感想
アメリカの劇作家リリアン・ヘルマン回顧録『ジュリア』を原作とするドラマです。

タイトルロールのジュリアというのは、リリアン・ヘルマンの昔ならの友人として描かれています。
青春時代を共に過ごした2人ですがジュリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は大学卒業後ウィーンに暮らし、
リリアンはニューヨークで劇作家を目指しています。

思うように書けない焦燥感に苛まれる中、同棲中のハードボイルド作家ダシール・ハメットに勧められたことから
リリアンはパリに赴くんですが、折りしもナチスが台頭し始めたヨーロッパの情勢は不安定なもの。
ジュリアはウィーンで反ナチスレジスタンス活動に加わっており
ジュリアと再会したリリアンも、やがて危険に巻き込まれることになるという話です。

これ回想録となっていますが、ジュリアという活動家がいたことは確かながら
リリアンが友人としてジュリアに絡んだという部分が実話かどうかは分かりません。

それでも混乱の時代を駆け抜けたジュリアと、ジュリアを手助けすることが自分を見出す道であるかのごとく奔走したリリアンの2人の織り成す刹那的な友情物語として見ごたえがありました。

俳優陣がまた素晴らしくてね。
お金持ちのお嬢さんでありながら、政治的な活動に没頭し、崇高な生き方を貫いたジュリアを演じる
ヴァネッサ・レッドグレーヴの強さと美しさ。
ジュリアに憧れ、不安におののきながらもジュリアを助けるリリアンを演じたジェーン・フォンダも可憐で
政治資金を運ぶことになる列車の旅の緊張感は半端なし。

ハードボイルド作家のダシール・ハメットは実際にリリアン・ヘルマンと30年間一緒に暮らしたようで
リリアンを励まし大きな愛で支える大人なダシールを演じる ジェイソン・ロバーズが凄くいい。

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ジュリアとの連絡役を務めるマクシミリアン・シェルも出演時間は短いながら映画に緊張を与えてるし
メリル・ストリープもちょい役で出てたりと、豪華な出演陣が見事に機能しています。


監督はフレッド・ジンネマン

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ハリウッドとヨーロッパの温度差含め、時代背景の描き方も秀逸
若きリリアンとジュリアの交流をフラッシュバックで見せているので、
2人の関係が分かりやすいのもいい。
聡明なジュリアに手を引かれ、常に彼女の後ろを懸命に歩いていたリリアン
ジュリアを助けることでジュリアに成長した自分を認めて欲しいところもあったんだと思う。
手を握り合うだけで分かり合える2人。友情に言葉は要らない。

美しい音楽も相まって、最後はリリアンの孤独が切ない余韻を残しますね。

ちなみに、リリアン・ヘルマンダシール・ハメットと共に赤狩りブラックリストに載った作家ですが
公聴会で「友を裏切るような行為は絶対にしない」と準備したメモを読み上げたということで有名。
そんなヘルマンの強い意思と友人への忠誠心が垣間見れる映画でもありますね。

この年ウディ・アレンの『アニーホール』がアカデミーを席巻する中、
ヴァネッサ・レッドグレーヴとジェイソン・ロバーズが助演女優賞助演男優賞でオスカーをゲットしています。



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