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映画ノート

痛いほどきみが好きなのに


2006年(米)監督・脚本:イーサン・ホーク出演:マーク・ウェバーカタリーナ・サンディノ・モレノ/ソニア・ブラガ/ジェシー・ハリスイーサン・ホークローラ・リニージェシーミシェル・ウィリアムズ【ストーリー】ニューヨークに暮らす俳優の卵、ウィリアム。気ままな毎日を送る彼はある日行きつけのバーで、ミュージシャンを目指してニューヨークに出てきたばかりの女性、サラと出会う。自分でも不思議なほどサラに心奪われてしまったウィリアム。サラもまた彼に惹かれていくが、過去の辛い失恋の記憶が彼女を臆病にしてしまう。そんな時、ウィリアムはサラをメキシコ旅行に誘う。暑い情熱の地で2人はついに結ばれ、結婚まで誓い合うのだったが…。
■感想
イーサン・ホークの監督作品ということで興味を持ち観てみました。

彼は「ビフォア・サンセット」でも脚本に名を連ねてますね。監督作品としてはこれが3本目になるようです。


俳優の卵20歳のウィリアムとミュージシャンを目指すサラがニューヨークで出会い、恋に落ちる。。
あっという間に燃え上がる二人。でもその恋は長くは続かなかった。。


自分から離れていくサラをひたすら引き止めようとするウィリアムが寂しいです。
下手をすればストーカーまがいな行動をとってしまうウィリアム。
彼に共感出来なければこの作品にも共感出来ないことになりそう。。

この作品はイーサンの自叙伝だそうです。
彼は若き日の忘れ得ぬ恋を描くと同時に、自らが背負って来た心の傷をカミングアウトしてるんですね。

ウィリアムには世界の誰とも繋がっていないという思いがありました。それは両親の離婚によるトラウマだったのでしょう。

イーサンは、作品の中でウィリアムの父ヴィンスとして登場します。
時に声だけで姿なき存在としてウィリアムにアドバイスを与えることも。

イーサン自身も離婚して幼い子供に寂しい思いをしているという気持ちがあるのだとも思います。
この作品からは、彼の父への思い、そして息子への思いを強く感じました。

無駄かなぁと思う台詞やシーンも多いように思うんですけど、どれもきっと思い入れがあるんでしょうね。

そんな無駄を無駄と感じさせないのが、作品を通し流れるジェシー・ハリスの素敵な音楽。
ノラ・ジョーンズらによる歌声がシーンを彩り、ウィリアムの心情を痛いほどに伝えます。

主演ウィリアムにマーク・ウェバー、(情けない感じがイーサンにそっくりw)
サラにカタリーナ・サンディノ・モレノ

ウィリアムの母にローラ・リニーと、細かな心理描写のできる役者で脇を固めているのも憎いところ。


原題は「THE HOTTEST STATE」。ウィリアムの故郷であり実際にイーサンの生まれたテキサス州を表現してるんですね。
離れていても自分の起原はここにある、、家族もまた同じ。

観終わった時には温かさとほろ苦さで、なんだか心地よかったですよ。



★★★*☆