しまんちゅシネマ

映画ノート

帰らない日々


2007年(米)監督:テリー・ジョージ原作:ジョン・バーナム・シュワルツ『夜に沈む道』(早川書房刊)出演:ホアキン・フェニックスマーク・ラファロジェニファー・コネリー/ミラ・ソルヴィノ/エル・ファニングエディ・アルダーソン/ショーン・カーリー/コーデル・クライド【ストーリー】コネティカット州の小さな田舎町ケイナン。大学教授のイーサンは、妻のグレースと2人の子ども、兄ジョシュと妹エマの4人で穏やかな日々を送っていた。しかしある夜、一瞬の事故で最愛の息子ジョシュを失ってしまう。逃走した犯人の車に乗っていたのは、離婚した妻ルースとの間の息子ルーカスを母親のもとに時間までに送り届けようと焦っていた弁護士のドワイト。一週間後、罪の意識に苛まれながらも自首できずに日々を過ごしていたドワイトのもとに、進展のない警察の捜査に業を煮やしたイーサンが事故の調査依頼に訪れる…。
■感想
ジョン・バーナム・シュワルツの原作を基に、ひき逃げ事件による被害者、加害者の心の葛藤を描いたドラマです。
監督は「ホテル・ルワンダ」のテリー・ジョージ

ある日、一瞬の事故で最愛の息子を失ってしまう‥。両親の哀しみははかりしれません。
ましてや、事故を起こした犯人がその場から走り去り、その後警察の捜査も行き詰まってしまったとしたら‥。

息子の死を悼む心さえも、犯人への憎しみの前に置き去りになってしまう、
そんな悲しい父親イーサンを演じるのがホアキン・フェニックスです。

加害者となってしまった弁護士のドワイルをマーク・ラファロが演じます。
ドワイルには離婚した妻との間に一人息子がおり、彼はその息子との暮らしが崩壊することを何より恐れ、
ひき逃げ後も警察に出頭することが出来ず悩み苦しむのでした。

皮肉なことに、ドワイルは自分の起こしたひき逃げ事故の捜査を担当することになり、
イーサンと顔を合わせることになるところから、緊張が高まります。
事件はどのような解決を見せるのか‥。



とにかく、この作品、役者の演技が素晴らしいのです。

犯人を殺人者と呼び、警察へいら立ち、ついには軌道を逸した行動に走ろうとする大学教授を好演したホワキン。

一方、犯人の苦悩を最大に表現したマーク・ラファロの演技も秀逸です。
その葛藤と悲しみは、被害者以上に大きいのではないかと思うほどで、見ていてとても辛いものがありました。
マーク・ラファロって地味だけど、本当に上手い人だなぁと思いますね~。

後半は緊張で手に汗を握ってしうサスペンスフルな展開。
ただ、物語りとしては特に目新しいものがなかったというのが正直なところ^^;

ホテル・ルワンダ」で社会派な壮絶なドラマを見せてくれたテリー・ジョージ監督作ということで、
期待しすぎたのもあるかもしれません。役者の演技がいいだけに、ちょっと残念でした。
見るものの判断に委ねるラストも、賛否のわかれるところかもしれません。

ただ、最後にようやく息子の死に向き合い、悲しむことが出来るようになった、ホアキンの演技には泣けました。
ホアキンの妻にジェニファー・コネリー、娘ちゃんにダコちゃんの妹エル・ファニング。この子がまた上手いんだ^^;


7月26日からの公開です


★★★*☆