しまんちゅシネマ

映画ノート

ワンダフルライフ


1999年(日本)監督・脚本:是枝裕和出演:ARATA小田エリカ寺島進内藤剛志谷啓伊勢谷友介由利徹横山あきお原ひさ子/白川和子吉野紗香志賀廣太郎内藤武敏香川京子【ストーリー】死んだ人が天国へ辿り着くまでの7日間に最も大切な思い出をひとつだけ選ぶ、という設定を通して人生の意味について見つめ直した物語。監督は「幻の光」の是枝裕和。天国の入り口にやって来た22人の老若男女。彼らはこれから7日間の間に大切な思い出をひとつだけ選ばなければならない。人はその思い出だけを持って天国に向かう。思い出は職員の手により撮影され、最終日に上映会が開かれることになっていた。さっそく職員たちは死者たちから思い出を聞き出し、撮影のための準備を進めるが…。
■感想
Kaz.さんのところで紹介されていて、とっても気になった作品。
幸い、レンタルDVDのオンラインで視聴できました。

とにかく気になったのが、【人は死んでから、天国へ辿り着くまでの7日間で、最も大切な想い出をひとつ選び、
その思い出を持って天国へ向かう】という設定でした。

舞台となるのは天国の入り口。まるで町役場のような風情の古びた建物を訪れる22名の老若男女。
彼らは職員の質問に答えながら、自分の人生を振り返り、大切な想い出を一つ選ぶのです。
期間は3日。選ばれた想い出は職員によって再現され、一本のフィルムとなって上映されるというもの。

自分だったら、どんな想い出を選ぶだろう。一つだけ選ぶことにどんな意味があるんだろう、、
色んなことを考えながら観ていました。

自分の人生に、これといった意義を見出せないと語る老人、どうしても想い出を選ぼうとしない青年のエピソードを中心に、
22名が語る「想い出」。
中には、実際に自分の想い出を語る素人さんもいらっしゃるようで、これが本当にドキュメンタリー風。

楽しい想い出を一つ選ぶはずが、結局選ぶのは平凡な日常のある風景だったり‥。
一見たいくつに思える、この想い出の話しのどれかに、
誰もが自分の想い出を重ねあわせ、ノスタルジーに浸ってしまうでしょう。

想い出のフィルム作りを助ける、職員たちがここに留まっている「理由」も色々。
それぞれのエピソードも興味深いものでした。

監督は「誰も知らない」の是枝裕和
ここアメリカでもVODで視聴出来るのは「誰も知らない」効果ではあるでしょう。
サイトに投稿された、数名の人のレビューを読んでみましたが
「ノスタルジー溢れる、ヒューマンドラマの秀作!」と評価も上々。

「人々がここで一週間を過ごす意義」について考え、観ている間よりも、観終わってから様々な思いが込み上げて来ます。
ファンタジーのようで、実は緻密なヒューマンドラマ。奥深い作品でした。


ヴェネツィア国際映画祭でオゼッラ・ドゥオロ賞を受賞した初監督作品、「幻の光」も観てみたくなりました。


★★★★☆