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映画ノート

レイチェルの結婚


2008年(米)監督:ジョナサン・デミ出演:アン・ハサウェイローズマリー・デウィット/ビル・アーウィン/トゥンデ・アデビンペ   アンナ・ディーヴァー・スミス/デブラ・ウィンガー【ストーリー】様々な問題を抱え、今はリハビリ施設に入所中の女性キム。彼女は姉レイチェルの結婚式に出席するため一時退院し、晴れの席で家族と久々の再会を果たすのだが…。
■感想

黒く塗りつぶせ!アカデミー&インディペンデント・スピリット賞

今日はアン・ハサウェイが主演女優賞にノミネートされた『レイチェルの結婚

アンが演じるのはあるリハビリ施設に入所中の主人公キム。
レイチェルの結婚式を2日後に控え、久々に自宅バックマン家に戻り家族と再会を果たすものの、
キムの不安定な言動により、親族友人一同の集まる会場にはぎこちない空気が流れることに。

レイチェルの結婚前後の数日間を描いた本作は、
バックマン家のメンバーが、彼らの運命を変えた過去と向き合う姿を描いたヒューマンドラマです。

いや~、痛い。そして深い。
家族の運命を変えた過去。その原因を作ってしまったのはキムなんですね。
自分自身が許せず、家族に申し訳ないという気持ちがある反面、これ以上傷つきたくないからバリアーを張り、家族の言動に神経を尖らせる‥。ガラス細工のように脆く危ういキムをアン・ハサウェイは見事に演じ切りました。
オスカー前哨戦の多くの賞で主演女優賞を獲得したのも納得の素晴らしい演技です。

結婚式を直前に控え、導火線のようなキムに苛立ちを募らせていく姉レイチェルを演じたローズマリー・デウィット
インディペンデント・スピリット賞では、母親を演じたデブラ・ウィンガーと共に助演女優賞にノミネートされていましたが、彼女も良かった。しかもニコール・キッドマンからキツネをとった感じで可愛く美しい。



レイチェルの結婚相手が音楽家ということで、映画の中で流れるのは、仲間たちによる演奏の音のみで
それ以外にはBGMがなかったのも印象的でした。

監督は『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』のジョンサン・デミ
シドニー・ルメットの娘のジェニー・ルメットの初脚本でもあります。

結婚式前夜を祝う様子が丁寧に描かれるわりには、家族が心を開き始める様子が、ややはしょり過ぎな印象もありますが
ぶつかり合いながら、過去と対峙した家族に、最後には温かい希望の一筋が見えてくるところも素敵で
役者陣の演技の素晴らしさもあり、地味ながらとっても好きな作品でした。

お薦め!

日本公開は4月ですね。

★★★★*