しまんちゅシネマ

映画ノート

唇を閉ざせ<未>


2006年(フランス)監督・脚本:ギョーム・カネ原作:ハーラン・コーベン『唇を閉ざせ』出演:フランソワ・クリュゼ/マリ=ジョゼ・クローズ/ジャン・ロシュフォール/クリスティン・スコット=トーマス
 ■感想
ハーラン・コーベン原作『唇を閉ざせ』の原作をフランス人若手俳優ギョーム・カネが監督し
映画化したミステリーロマンスです。

全米で2008年に公開され、ロットン・トマトでも93%という高い評価を得ていたので観てみました。

【ストーリー】
小児科医ベックは8年前に最愛の妻を連続殺人事件で亡くし、いまだに傷が癒えないでいる。
そんなある日、事件のあった湖畔でさらに2体の遺体が発見され、犯人逮捕に進展。
犯人は8人の殺害を自白するが、ベックの妻マーゴットの殺人は否定。警察は新たな捜査を開始する。
時を同じくして、ベックのもとに奇妙なEメールが届き、そこにはマーゴットと思われる人物が映し出されていた。

これは原作が面白いんですね。
8年前の事件の真相は? 妻は生きているのか? Eメールの送り主とその目的は? と散りばめられられた謎により、
早くからストーリーに惹き込まれます。

殺人現場は、幼なじみでもあった二人が愛を育んできた場所でもあり、幼い二人の映像を挿入することで
ベックがいかに妻を愛していたかが分り、これが切ない。

ところがベックは妻殺しの容疑をかけられ、警察から追われる立場となってしまうのです。
果たしてベックは事件の真相を究明し、妻と再会することが出来るのか。

事件が意外に複雑で、登場人物の多さに最初少々戸惑うところがありました。
終ってみれば登場人物に役割をしっかり担わせていたという印象なので、その煩雑さをノーと取るか
深みと取るかで評価の分れるところかもしれません。
主人公を追いつめる警察側の温かさが伝わるエピソードを挿入したり
ベックを助ける人物が義理人情の世界だったりと、私の持つフランス映画のイメージをいい意味で覆してくれました。

ミステリーも面白く観ることが出来ましたが、個人的にはロマンス部分にっと比重をおいてくれてもよかったかな。



こういう優秀な作品を見逃さないのがハリウッド
『ベンジャミンバトン~』の売れっ子プロデューサーにより早くもリメイクが決定している様子。
まだ出演者は未定ですが、どんな作品に仕上るかこれも楽しみなところです。

オリジナルはまだ日本では公開の予定がないですね。

★★★★☆