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映画ノート

悪を呼ぶ少年


1972年(米)監督:ロバート・マリガン出演:ユタ・ヘーゲン/ダイアナ・マルドア/クリス&マーティン・ユダバーノキー/ノーマ・コノリーヴィクター・フレンチ/ポーティア・ネルソン/ジョン・リッター

「今週の注目映画」で人気でしたシリーズ 1本目『悪を呼ぶ少年』

■感想
トーマス・トライオンのベスト・セラー小説「もう1人の子」の映画化である本作は
長閑な田舎町を舞台に、一卵性双生児の少年が巻き起こす事件と、その裏に潜む秘密を描いたサイコ・サスペンスです
監督は『アラバマ物語』のロバート・マリガン
原作者のトーマス・トライオンは脚本と総指揮を勤めています

これは不気味な作品でした。
サム・ロックウェル主演の『ジョシュア/悪を呼ぶ少年』とは関連がないようですが
もしかしたら邦題を考えた方が、この作品を意識してつけた可能性はありますね。

原題が示すようには本作は「もう1人の子」が問題になります。
双子の兄はホランド、弟はナイルズ。

ナイルズは祖母のエーダと一緒に「なりきりゲーム」を楽しむ少年。
これは精神を集中し見つめれば、瞬間的に鳥などの対象になることができるというゲームなんですね。

少年の周囲で起こる奇怪な事故や殺人。
物語が進むにつれて、その事件の全てに少年が関わっていると言うことが分かって来るのですが
少年が一卵性双生児であること、「なりきりゲーム」を好む少年であったことがポイントになり
全容が明らかになったときには、かなりぞっとしてしまいました。

少々ネタバレですが、少年にゲーム遊びを教えた祖母は全責任を感じることになり
ある決断を下すのですが
もう神の力に頼るしかないよね、、と納得したところで、どんでん返し的な結末を迎えることになるんですね。
これには驚きました。
祖母の愛も神の力も否定するラストの後味の悪さは格別です。

そもそもはマーク・レスターを主演に考えていたそうですがかなわず。
双子の少年はちょっとポチャっとしてますがなかなか可愛く、演技も上手かったですよ。
ジェリー・ゴールドスミスのスコアも印象的でした。

観なおしてみると事件の全容に繋がる伏線もいっぱい仕込んであり、無駄の無い脚本はあっぱれ。
面白かったです。

ビデオも廃盤ということで、アマゾンの中古ビデオに一品のみ出品されていて23,980円なんていう高値がついてます。
でも『ブラッディ・バースデイ』というのと一緒にDVDになってるようでもあるんですが、どうでしょ。



第5回シトヘス恐怖(スペイン)映画祭金賞受賞


★★★★☆