しまんちゅシネマ

映画ノート

ぼくの伯父さんの休暇


1952年(フランス)監督/脚本:ジャック・タチ出演:ジャック・タチ/ナタリー・パスコー/アンドレ・デュボワ/ヴァランティーヌ・カマクス

「今週の注目映画で人気でした」シリーズ2本目! 『ぼくの伯父さんの休暇』

■感想
ジャック・タチ監督・主演の傑作コメディ。
タチの登録商標でもあるユロ氏の、海辺で過ごす一週間の休暇を描いた作品です。

新聞欄で★4つだったのが気になるポイントでした。
これシリーズ物らしく、「観るべきシリーズ」の一本でもある『ぼくの伯父さん』がこの後に製作されています。
ただ、日本では『ぼくの伯父さん』の方が先に公開されたため、本作に甥っ子は登場しないにも関わらず
この邦題がついてるようです。「ぼく」って誰やねん!ですけどw

だれもがこぞってバカンスに出かける頃
主人公のユロさんも、オンボロ車を走らせて海辺の避暑地へと向かいます。

後続車が来るたびにクラクションを鳴らされ、ヨロヨロと路肩によける
道のまん中に寝そべる犬も、ユロ氏の車を一瞥するだけでどこうともしないw
冒頭のそんなシーンから、主人公のおとぼけぶりが想像できて、ちょっぴりワクワク。

どうにか辿り着いた海沿いのコテージ。
バカンス客がそれぞれに寛ぐ中、
ユロ氏のおかしなおかしな休暇が始まるんですね~。



この喜劇、サイレントではないんだけど台詞が少なく、ユロ氏も殆ど喋りません。
作風としてはチャップリンとMr.ビーンを足して、フレンチドレッシングで和えた感じでしょうか。

彼は他の登場人物より頭2つくらい大きい、、あ、頭がでかいんじゃなくて、背が高いのね(笑)
大きな図体でおとぼけなギャグをかましてくれるんだけど
どこか素人臭さがあり、キレも足りないから、もしかしたら主演は別の人の方がいいかもと思ったりも。
でもこの長閑さがいいのかもしれません。

ボートがまっぷたつに割れて、お口パクパクのジョーズよろしく、海辺のみんなをビックリさせたり
おかしなポーズで始まるテニスのサーブがめっぽう強烈で、みんなの間でそれが流行ってみたりw

アイスクリームを落としそうで落とさない子供、妻の尻に敷かれた老紳士、
いつもしかめっ面だけど、ドアから入って来る客の体格に合わせ肉の大きさを変えながらを切り分ける給仕係など
登場人物を温かい視線でみつめる描き方も微笑ましい作品でした。

ラストの花火のシーンはかなり危険だったように思うけど、、大丈夫だったのかしら。

何はともあれ、休暇も終わり、バカンス客も帰路につく。
穏やかな陽射しも秋の気配を漂わせ、コテージも扉を閉じる時、夏も終わり。
そんな瞬間を1枚の絵はがきにしちゃったラストショットもお洒落でした。

カンヌ映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞してます。

★★★★☆

実は昨日は『ありふれた事件』を観かけたんだけど、『悪を呼ぶ少年』に続けちゃうと精神蝕まれそうで(笑)
急遽方向を替えてみたのは正解でした。

明日は『ありふれた~」いきますよw