しまんちゅシネマ

映画ノート

17歳の肖像


2009年(イギリス)
監督:ロネ・シェルフィグ

■感想
女性ジャーナリスト、リン・バーバー回顧録を基に
幸せになるためのイタリア語講座』のロネ・シェルフィグが監督が映画化した思春期ドラマ。
 
アカデミー賞で作品賞、脚本賞、主演女優賞の主要3部門にノミネート
うーん、輝かしい受賞歴も大納得の素晴らしい作品でした。
今年一番かも~。
 
1961年、ロンドン。主人公ジェニー(キャリー・マリガン)はオックスフォードを目指す多感な16歳。
家に招待するボーイフレンドはいるけれど、キャリーから見たらてんで子供。
この年代って、女の子の方がませてるんだよね。
 
そんなときに出合ったのが大人の男性デイヴィッド(ピーター・サースガード
柔らかで知的な態度に心を許し、あっという間に恋に落ちてしまう。
 
初めてのナイトクラブ、オークション、ドッグレース、大人の会話
デイヴィッドとのデートで経験することは心躍ることばかり
一方で学校の成績は下がり始め・・・
 
原題は『AN EDUCATION』 ずばり「教育」
ややもすれば説教じみてきそうなテーマですが
映画は17歳の少女の目を通し描かれているので
私たちは主人公と一緒に考え、教育の意義を見出していくことになります。
 
キャリー・マリガンはキャスティングを決める時点で22歳だったようだけど
童顔で可愛いし、クラスの誰よりも精神的に成熟した16歳のジェニーを違和感なく演じ、見事です。

デイヴィッド役のピーター・サースガード・・・
多くは語れないけど、彼らしい役柄。やっぱり巧いですね。
 
ジェニーのパパにアルフレッド・モリナ
娘の幸せを第一に考える普通の父親だけど、彼の劣等感が判断を鈍らせることに。。
 
ジェニーの担任にオリヴィア・ウィリアムズ。 
浮かれて自分を見失ったジェニーに「死んだも同然のハイミス」呼ばわりされながらも
決して信念を見失わない真の教育者。地味ながら大切な役どころです。
簡素な暮らしぶりはデイヴィッドを取り巻くゴージャスな暮らしと対照的に描かれており
本当に豊かな暮らしとは、物質的なものだけではないと気づかされます。
短い言葉で語られる彼女の最後の台詞に、教育者としての真摯な情熱と深い愛情を感じ、思わず涙でした。
 
デイヴィッドの仕事仲間のダニーにドミニク・クーパー
その恋人ヘレンにロザムンド・パイク
この二人はジェニーを華やかな大人の世界に誘う役割を果たすのですが
ヘレンは美人でゴージャスな一方時々教養のなさをにじませ
あれ?って思わせる役どころ。お前はサロゲートか!って思っちゃいましたが(爆)
(『サロゲート』でブルースの奥さんのサロゲートを演じた人ねw)

 
会話に無駄がなく、多くの台詞が後に大きな意味を持ってくる構成も素晴らしい。
 
17歳のジェニーが体験する大人の世界にワクワクし、揺れる心にキュンとなり
どう生きるべきかを共に考えた映画でした。
人生の岐路に立ち、教育って必要なの?って思う多くの若者にも観て欲しい。
私ももっと教養つけないと、と考えさせられました。  遅い?^^;
 
お薦め!
 
4/17~の公開ですね